人を育てる

昼、水道橋の「王将」へ。
店長なのか調理長なのか社員なのかわからないが、厨房のボス的な人がいて、新人の動きに目を配りながら、全体の指揮をしている。
その指揮っぷりが、見ていて心地好い。
まるで、艦長みたいだ。

新人は焦るものであり、叩けばますます焦る。
とはいえ、忙しければ新人の焦りがイライラの種にもなるだろう。
叩いて育てるのもいいが、じっと見てやることもしてやらないと、なにがなんだかわからないまま見様見真似で間違ったことを覚えてしまうこともある。

昔、二十歳を少し過ぎた頃、居酒屋でアルバイトをしていた。
初出勤の失敗を思い出す。
空いている皿を下げてこいと言われ、取り皿を全部下げてしまったのだ。
取り皿の存在くらい知っていたが、言われたことをこなすのに精一杯だったのと、初めての飲食店バイトで、気が動転してしまった。

芝居でもあるなあと思う。
新人にダメ出しをすると、ダメ出しを解決しようとする努力が、新たなダメを生む。
「そうじゃないだろう」
とダメ出しすると、さらにダメが量産されていく。
そのうち新人は、なにがダメなのかよくわからなくなってしまう。

ただ、そういうふうに「いっぱいいっぱい」になることは、気持ちの耐性を強くする意味で必要なことだと思う。
誰でも経験するし、経験しておかなければ、その後たった一人で向き合う地獄に立ち向かえない。

王将のボスを観察しながら、そういうことを考えていた。

仕事が色々長引き、7時半まで残業する。
夜8時半帰宅。
ホットドックを作って食べる。