夏日の師走

 昨日の強風は南の暖かい空気を引き寄せ、東京は25度の夏日となった。
 外に出ると空気が生暖かい。
 むしろ暑い。
 半袖で過ごす方が自然に思えるほどの気温だ。

 一年中この気温が続いたら、日本はどうなるんだろうか。
 緊張の冬と弛緩の夏というリズムがなくなるから、俳句のように一瞬の美しさを限られた言葉にとどめる文化は生まれてこなくなるだろう。
 人間の文明は、厳しい気候の地域で生まれた。
 暖かいところは、文明なんてなくても暮らせるから。
 それこそ、暑くなったら泳いで、腹が減ったらその辺になっている果物を食えばいいのだ。

 冬が来るから知恵を絞って食料と暖かさを確保しないといけない。
 夏もまた知恵を絞って食料が腐らないようにしないといけない。
 四季が巡るというのは、次があるということだ。
 日本は恵まれてる。

 洗濯をし、うちの外にあるゴミをまとめた。
 足元がおぼつかなかった。
 昨夜飲み過ぎたのだ。
 ズブロッカが一本カラになっていた。
 そこまで飲むのは最近じゃ珍しい。

 夕方、ハンバーグを久しぶりに作った。
 材料は基本的なものばかり。
 ひき肉、たまねぎ、パン粉、卵、塩コショウ、ナツメグ。
 初めに強火で両面を焼いた後に、弱火で蓋をして蒸し焼きにする。
 5分くらいかけて蒸し焼きにすれば中に火が通るのだけど、フライパンと接した面が固くなってしまう。
 だからいつも、2分間焼いたらもう一度だけひっくり返し、3分蒸し焼きにしている。
 肉汁があふれないギリギリのラインだ。

 夜、マラソンと筋トレ。
 帰りに99円ショップに寄り卵を買おうとしたがすべて売切れだった。
 野菜が安くなったと思ったら今度は卵の値段が高くなっているのだ。
 99円ショップはいつでも8個で99円だから、おそらく近所の主婦がイナゴのように来襲し、買い尽くしていったのだろう。

 シャワーを浴びてから「プロレスリング・ノア中継」を見る。
 小橋のGHC王座防衛戦。
 相手のグラジエーターは動きが緩慢で、こりゃ絶対勝てないなと見てて思った。
 リングサイドで鈴木みのるが観戦していた。

 小橋が勝った後、鈴木みのるがマイクで小橋に挑戦を要求した。
 この喋りが、非常にうまかった。
 間のとり方、言葉の選び方、強弱のつけ方、そしてたたずまい、そのすべてが見事だった。
 バックステージで鈴木を迎えた高山が、
 「かっこいいなあ」
 とニコニコしながら言っていた。