振り込んで神様

平日の時間の使い方について、一日中考えていた。

仕事に出かけるためスーツに着替えはじめるのが7時45分。
仕事が終わって買い物をして真っすぐ家に帰り、私服に着替え終わるのが18時45分。
およそ11時間を仕事の時間と考える。
朝飯と夕飯を準備して食べる時間が、トータルで1時間半。
入浴はゆっくり風呂につかるので1時間。
睡眠時間はいつも2時前後に寝て7時半に起きるから5時間半。
すべて足すと18時間。
となると、残り6時間が自由に使える時間になる。

6時間をすべて自由に使おうと思っても、なかなかそうはいかない。
メールをしたり、考え事をしたり、ぼーっとしたりする時間をスケジュールに組み込むのは難しい。

自分の場合、連続して確保できる時間は、8時から11時までだ。
その時間帯を1時間ずつに分け、時間割を作ってみた。
すると、一週間トータルで考えてみても、台本を書く時間を結構取れるとわかった。

時間割に設定しても、その時間に台本がきちんと書けるわけではない。
調子が悪くて1ページも進まないことだってあるだろう。
そういう時のために、台本書きの時間は「他の作業もしくは台本書き」とした。
逃げているようで気に入らないが、時間割に慣れて、その時間になれば頭が切り替わるようになってくるまでの暫定的処置だ。

時間割で思い出すのは、高校三年生の時の夏休みだ。
二年の時まで成績はどん底で、大学進学は浪人しないと無理だろうと思っていたのだが、高二の時の担任がどういうわけか、
「塚本君は大丈夫よ」
と言ってくれたのでその気になり、三年の夏休みに一日10時間以上勉強したのだ。
この時に役に立ったのが時間割だった。
カレンダーに時間単位で、勉強したい科目を書き込み、そのスケジュールを7月から8月にかけておおむね守った。
トータル600時間くらい勉強したんじゃなかったか?

それにも関わらず、9月に受けた古文のテストの成績は、6月よりもかなり下がっていた。
落ち込んだ。

高校時代、世界史だけはかなりできたので、夏休みは世界史の勉強時間をセーブしていた。

やがて受験シーズンが到来し、色々受けたわけだが、受かったのは二次試験科目が世界史だけの大学だけだった。

俺の18才の夏は一体何だったんだろう?

神様。
もしも願いが叶うならば、
あの夏の600時間を、
時給700円に換算して、
振り込んでください。
みずほ銀行です。
普通口座です。
みずほが落ちてたら、自分、三井住友の口座もあるんで、そこでもいいです。