王子の王子

 仕込み二日目。

 とはいうものの、仕込み自体は昨日の時点でほとんど終わっているのだった。
 だから、劇場を利用しての稽古日と言っても良い。
 とても贅沢である。

 客席を組むことで、動くエリアがより分かり易くなった。
 上手の天井が高いので、照明次第ではとても怖い暗さになるということにも気がついた。
 怖い暗さとは、ちょっとした影が「何か」に見えたりする暗さのことだ。

 4時頃まで稽古をし、その後昨日終わらなかった部分の場当たりをする。
 場当たりは6時近くに終了。

 夕飯の時間に音響のきっかけチェックをする。
 望月が「弁当何にします?」と聞いてくるまで、空腹に気付かなかった。

 気付いてからは飢餓状態。

 7時前に久しぶりのダイナマイトモード、アサカが来る。
 予定通り7時からゲネプロ。

 オペ室にて芝居を見るが、細かいところまではわからなかったので声を聞くのに徹した。
 明かりがついたり音が入ったりすることで役者のテンションが「芝居」がかってくるのはまあ、致し方ないといったところだが、それでも許容範囲といえるだろう。
 ただ、稽古のスタイルがそういった流され方を排除する方向性のものだったので、目も当てられない状態は防げている。
 しかしもっと上にいけると思った。

 ゲネプロ後、客席で見ていた中山君に照明のことを色々聞く。
 「転換、きれいでした」
 とのこと。ほっとする。

 アサカも撮影中久しぶりに「アサカステップ」を披露していた。
 シャッターを押し、軽やかに横移動。
 その繰り返しであった。

 ゲネ後、ダメ出しをしていたら、客席に寝っ転がっている男がいた。
 オギノ君は楽屋、中山君とアサカは目の前にいる、健ちゃんはロビー、望月は立って歩いていた。
 だ、誰だ一体?
 小屋の管理人である玉山さんだった。

 玉山さんには本当に毎回お世話になっているが、去年の暮れに体調を崩したらしく、昨年と比べて随分痩せていた。
 そしてトレードマークだった作務衣も着ていなかった。
 あごのヒゲがやや伸び気味だった。

 10時前に劇場を出ると、小雨が降っていた。
 「よーし、飲みにいくか!」
 と、必殺の「ゲネ飲み」に行こうとするオギノ君につき合う。
 参加者は鶴マミ、アサカ、中山君。

 和民にて1000円飲み。
 ボトルを頼んだので注文数の割に結構飲めた。

 南北線の終電にて帰る。
 オギノ君、阿佐ヶ谷で気分が悪くなり途中下車。大丈夫だろうか?
 吉祥寺で音響の仕事をしている中村さんと遭遇。
 小金井までアサカと3人で四方山話。

 駅を降りると凄まじい雨だった。
 台風が近づいているらしい。そのせいだろうか?
 台風が過ぎれば梅雨明けだろうな。
 夏が来るのだ。

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