舞台美術の相談

 昼、メモ用紙に台本の展開を箇条書きにした。
 追加するべき内容の多さに驚いた。
 つまり現在書けている部分で、まだ全体の3分の1ほどなのだ。
 「そうだろうな」
 と思ってはいたが、箇条書きというスタイルでそのことを知るのは辛い。

 夕方王子にて、舞台美術の松本さんと会う。
 王子小劇場のそばにある中華料理屋で舞台美術の打ち合わせをする。
 台本を書くときにはどうしても具体的イメージを頼りにしてしまうのだが、演出をする時にはその具体的イメージが邪魔になる。
 しかし初めから抽象的な舞台イメージで書くことは、今の自分にはできない。
 まだできない、というべきなのか。

 ともあれ、演出をするときには具体的イメージの入ったト書きにいつも苦労する。

 松本さんに現段階でのイメージを伝える。
 「今の段階では3分の1です。でもページは多すぎるんで、削らないといけないんですよ」
 「削るくらいの方が内容が濃くなりますよ」
 本当にそうなるようにしたい。
 しかし、研修医の初オペみたいに緊張する。
 11時まで話す。