薄皮一枚隔てたハードボイルド世界

 明け方目を覚ます。
 この夏はこのパターンが多い。
 1時から2時の間に寝て、5時前後に起きる。
 再び寝て、今度は7時半に起きるのだ。

 古谷実の『わにとかげぎす』が始まって数ヶ月経つ。
 前作『シガテラ』同様、何気ない日常の裏側に潜む暴力的世界の描写が、読み手の心胆を寒からしめる。
 先週と今週の展開がまさにそうで、それまで安心して読んでいたオレなどは立ち読み中凍り付いてしまった。
 (おめーらが安心して笑ってるのがむかつく)
 まるで、そうとでもいいたげな登場人物が、理不尽な殺人を犯す。

 (世の中、ここまでハードボイルドじゃないよ)
 そんな感想をのほほんと吐けないのは、昨今の事件をあげつらねるまでもない。
 毎週、誰かが、まるで創作されたかのような残虐さで殺されている。
 そして我々は、殺人事件にあふれかえった日常に、慣れつつある。

 夕方、実家へ。
 チャーハンを作って食べる。
 夜、荒川沿いをジョギング。