公演中も一日だけ出勤はしており、週全休をしたわけではないので、仕事に戻っても浦島太郎のような感覚はなかった。
ハレからケヘの移行は、小船に乗って、ゆっくりと島から遠ざかるのに似ている。
つまり、浦島太郎じゃなくて、桃太郎か。
打ち上げで誰かが言っていた。
元の話では、桃から生まれたのではなく、若返りの桃を食べたじいさんとばあさんが子供をなしたのだという。
つまり、川上からどんぶらこと桃が流れて来るという改変によって、物語からR15指定が外れたということになる。
面白い。
だが、ここで悪のりしてR18指定の桃太郎なんぞ書いたら、7年前に熱海の秘宝館で見た、アダルトビデオ版浦島太郎と同じことになってしまう。
夜、小女子サラダを作って食べる。
精算をしながら、ワールドカップ決勝トーナメント、日本対パラグアイ戦見る。
音消し。
0対0のまま前半・後半終了。
延長前半・後半もそのままだった。
途中から、技術とか戦術を超えた、意地のぶつかり合いみたいな戦いになった。
結局、PKで日本は敗れた。
近所の家から女子の悲鳴が聞こえた。
地面にへたりこむ選手がおらず、みんな立ち上がり、顔を正面に向けていた。
負け犬というわけでもなく、敗北の美学を強調するでもなく、ただそこにいるという感じが、本当に良かった。
ドラマ、一切加える必要なし。
BGMもコメントもはなむけの言葉もいらない。
拍手だけ送り、あとはそっとしてあげたい。