6時起き。
7時50分まで台本書き。
8時40分過ぎに仕事場へ。
休憩室の自販機でまるごとソーセージを買って食べる。
仕事は暇。
昼、サラダと塩バターカップ麺食べる。
定時にあがる。
自転車で青梅街道を荻窪方面へ。
天沼の稽古場に時間ギリギリの到着。
汗びっしょりになっていた。
カレー屋夫婦とOLの場面、書き直したところを初めてやる。
優美ちゃんとなるは、過去共演経験があったそうだ。
玉ちゃんの所属団体の長は、兜森くんの同期だそうだ。
市森くんはたけしの、養成所時代の先輩にあたるそうだ。
初めてマグに参加する人々の過去に、そうしたつながりがある。
小劇場の世界は狭いね、で済ませて、生ビールをもう一杯頼んで終わりみたいな話かもしれないが、つながりやすいということは、その世界を漂う時に、漂流仲間を見つけやすいということでもある。
小劇場にのめり込む若者のうち、それが理由であるという人はいるのだろうか?
いたとしても、意識はしていないだろう。
台本について、これまでの変遷を振り返ってみよう。
孤独がテーマだが、そのきっかけは昨年の暮れ。
ある知人男性の話を耳にした時だ。
その人はいつも、ある男と飲みに行っていた。
そして、いつも飲み代をすべて払っていた。
男としては、ただ酒が飲めるから、たかっているようなものだ。
飲む以外の時間、二人で休憩室にいる時、その人は過剰に饒舌となり、趣味のことなどを男に喋っていた。
周囲に見られていることを意識したオタクの喋り、といった様子だった。
まるで、普段満たされていない自意識が触手のように伸びて、周囲を絡め取ろうとしているみたいだった。
上司はその人のことを心配していたらしい。
あんなにたかられて大丈夫かと。
でも、その人にとっては、お金を払ってでも必要な関係だったのだろう。
年が明け今年になり、お金で友達を雇う会社というプロットを思いついた。
だがいつの間にかそれは、お金で友達を傭う孤独というふうにテーマが変わっていった。
4月のマグ不足『贅沢な肉』でオレのやった役は、喫茶店の店長。
冒頭、アルバイトの面接をするシーンがあった。
友達欲しさにアルバイトを雇うという設定だった。
アルバイト役を演じた菊田くんが昔出た芝居のオープニングも、喫茶店の面接場面だった。
オレが菊田くんと初めて共演した作品で、以来8年の時を経てマグに出てもらったので、ひとつのオマージュとして面接シーンにしたわけだ。
『贅沢な肉』のテーマは、孤独とはまったく違うものになった。
そして、お金で友達を傭う孤独という要素も、公演が終わってから興味が持てなくなってしまった。
もっと普遍的に考えようと思いなおし、「孤独孤独…」と孤独につぶやきながら5月を過ごした。
6月になったある日、ウォークマンでポリスのアルバムを聴いていたら、当然のように “Message in a bottle” に行き着いた。
孤独に引き寄せられたような聴き方だった。
孤独は、人を引き寄せるのではないか?
そう感じた。
レッツ・解脱トゥギャザーというタイトルはそれ以前に決めたのだが、元々は何かのセリフに使えないかと思ってネタ帳にメモしておいた語句だった。
思いついた時は一人でゲラゲラ笑った。
いやなレッツだぜ。
少し前、『贅沢な肉』公演稽古中にファスティングをする機会があり、脳のエネルギーがケトン体に変わるということを勉強した。
昔から断食が修行の手段とされてきたのは、ケトン体サイクルを求めてのことだったのだという仮説を得た。
修行について色々調べるうちに、孤独という文字が立ちはだかった。
修行につきもの。
というより、孤独なき修行は存在しない。
ということは、孤独を感じる時、人は修行中じゃないのか?
そして修行の果てに到達する境地が解脱だ。
去年から考えていた孤独についての物語が、タイトルと結びついたのが6月頃。
あとはひたすら、登場人物や場面について考え、冒頭場面を書いては消しの繰り返しだった。
6月から8月にかけては、1ページを書くのに費やした時間が極めて長い。
いわばカンブリア紀以前の地球のようなものだ。
生物がなかなか進化しないように、物語がなかなか進まない。
8月半ばに稽古が始まり、ほぼ1日おきというペースでやってきた。
観念の奴隷となり、ああでもないこうでもないと言葉をひねくり返してきた頭の中に、他者の言葉、つまり役者の言葉が飛び込んできた。
夏の終わりにようやく物語にカンブリア紀が始まった。
だから今、オレの頭の中では、三葉虫がうごめいている。
だから今、オレは気持ち悪い。
なると優美ちゃんの場面、初めてけいこする。
友達、OL、休憩がキーワード。
でも、友達同士の女子二人が休憩中に喋っているという設定にすると、年齢や職業は関係ない気がする。
高校の部室、バイトの休憩室、ファミレス。
どこであろうと、何かは変わらない。
几帳面さ、雑さ、真面目さ、大らかさ、細かさ、太さ、強さ、弱さ、対照的な二人になるのか。
それとも似たようになるのか。
しばらくは自由にやってもらう。
玉ちゃんとオレの場面を稽古する。
出番のない人にはエキストラとして出てもらう。
マグネシウム不足の稽古みたいに作る。
演じた後で思いついたことをべらべら喋り、またやるの繰り返し。
9時半に稽古を終える。
蒸し暑かった。
暑いというより蒸す感じ。
日大通りから住宅地を抜け青梅街道に出る。
サミットで買い物。
カシューナッツのみ買う。
セブンイレブンで豚骨醤油のカップ麺を買い、夜食に食べる。