「バートン・フィンク」観る

雨は午前中にやんだ。

昼過ぎ、どうにも体がきかず、ベッドに横になると、眠気とは違った倦怠感に包まれた。このまま寝てしまおうかと思ったが、起きて、図書館へ行き、予約した本を借りた。読む本が一気に増えた。

映画も、撮っておいてまだ観ていないものが増えた。

コーエン兄弟「バートン・フィンク」観る。1991年作品。
2003年にビデオで観て以来。
ジョン・タトゥーロが主役のバートン・フィンクを演じている。
バートンはニューヨークの舞台脚本家。自作が絶賛されても、出来に満足いかない理想主義者。
彼はハリウッドに招かれ、映画のシナリオを執筆することになり,ロサンゼルスに赴き、安ホテルに滞在する。スティーヴ・ブシェミがホテルマンのチャックを演じている。チャックの登場場面が笑える。
陰気なホテルに缶詰めになり、シナリオを書こうとするバートンだったが、書いたこともないB級レスリング映画を依頼され、冒頭のト書き以降、筆はまったく進まない。
ジョン・グッドマンが隣の部屋に宿泊する保険外交員、チャーリーを演じている。初めは物音がうるさくて文句を言うバートンだったが、次第に打ち解けていく。

書けないストレスと、知らない町で一人きりの孤独感に追い詰められていくバートンが、チャーリーを頼りにしていく描写が好きだ。チャーリーが本当に信頼できる友人のように見える。
後半の種明かしを経て、ラストでバートンは、呆けたようになって海辺にたたずむ。手元にはチャーリーの置き土産の鞄がある。海岸でバートンは、いつも写真で見ていた女と会い、会話をする。そこで映画は終わる。
解かれないままの謎が残る。しかし、バートンと同じくらい呆けた気持ちでラストを観ていると、虚しさと同時に、なぜか満足感を感じる。
そして、チャーリーは、そんなんじゃなくて、本当にいい奴だったのではないか? という気持ちになってくる。