外伝の時間軸に追いついた

朝、稽古場にて、今週土曜日に向けて最後の稽古する。『夢想』はかれこれ半年ずっとやっているが、慣れてきたと思えたのはやっとここひと月くらいで、通してやると必ずどこかでとちる。ずっと思ってきたことだが、家でやる自主練の時間がやはり少なすぎる。明日本気出す、の典型パターンにはまっている。

自分は、コツコツ練習するのが苦にならないタイプだと長年思ってきたが、それを上書きするように怠惰の習慣がついている。尻に火がつかないと動かない。だからあえて、自分で尻に点火するようにしている。フルマラソンにエントリーするのもそうだ。

9月にもトレイルランのレースにエントリーした。なんという無謀なことを、と今では思っているし、7月8月にいったいどうやってトレーニングしたらいいのか、途方に暮れてもいる。しかしこれも、尻に火がつかないと動かないから点火するという典型的行動だろう。

午前中雨だったが、徐々にやんできた。

昼、冷やしたぬきうどんを作って食べた。自分で作るのは初めてだった。具材の肝である揚げ玉は、ひとパック99円の安売り品を使ったのだが、この具材をケチらずにいいものにしないといけないということに、食べてから気づいた。その揚げ玉は、スナック菓子みたいな食感で、全体の味が求めていたものとは違ってしまった。それ以外は美味しかった。

午後、担当者ミーティングに参加。開始が遅れ、明日、議題の一つをリスケすることになった。

夜、グイン・サーガひたすら読む。

125巻『ヤーンの選択』読了。スカールに助けられたヨナは、スカールと共にヤガを目指す。後半4分の1はイシュトヴァーンがカメロンに黙ってパロを目指す。いくら何でもその展開はないんじゃないか? カメロンはイシュトを止めるために追いつくが、イシュトはカメロンを、自分に惚れた女みたいに扱い、口八丁で丸め込んでついてこさせようとする。カメロンもだんだんその気になってくる。そんな人じゃなかったはず。しかしカメロンの元に、ケイロニアで黒死病が流行しているという知らせが届き、カメロンはゴーラに残ることに。黒死病は、外伝1巻『七人の魔道士』のイベントだ。本編がようやく、この外伝の時間軸に追いついたということだ。

『七人の魔道士』が刊行されたのは1981年の初頭だった。その頃、グイン・サーガの本編はまだ5巻か6巻が出た頃なので、展開としては、グインがノスフェラスでモンゴール軍を打ち倒し、一方中原ではモンゴールからパロを取り返すため、ナリス、スカール、ベック公などが動き始めているあたりだ。まだ全然、先の展開が定まっていないのに、かなり未来のことを外伝に書いてしまったのは、グイン・サーガを書き進めるにあたって、かなりの束縛となったに違いない。

しかし、それを束縛とせず、羅針盤でありお題であるように扱ったからこそ、100巻を超える量を書くことができたのかもしれない。

逆に言うと、この外伝の設定に縛られていたために、物語が冗長になったともいえる。『七人の魔道士』の時点でグインは二度のユラニア遠征を終えていないといけなかった。そのためにケイロニア編やシルヴィア誘拐編が書かれた。また、外伝ラストでグインはヴァルーサという踊り子とできちゃうことになっていた。そのためには本編のシルヴィアをどうしようもない女にしておかないといけなかった。もし『七人の魔道士』が書かれることがなければ、シルヴィアはもう少し可愛げのある王女に描かれていたかもしれない。