延々眠った。10時間以上。
11時、走りに行く。シューズはプーマのディヴィエイトニトロ3を履く。試し履き。28センチを買ったが、つま先が狭いように感じた。
中杉通りから早稲田通り、旧早稲田通り、環八、笹目通り、川越街道へ。ペースはひたすらゆっくり7分台を維持する。シューズがまだ慣らしのため、早く走れないということもあった。
川越街道を野火止まで走り、そこから南西に曲がると、道はそのまま新小金井街道になった。このルートは昔バイクでよく通った。野火止から曲がった道は志木街道という名前だったが、Googleマップを見てもその名前は表示されなかった。
五日市街道手前の公園で顔を洗い、『つばき食堂』手前で走行距離が29キロになったところでゴール。3時間40分くらいかかった。
ファミマでプロティン飲料を買って飲み、『つばき食堂』でつけ麺の特大を食べた。麺が3玉くらいあったが、ペロリといけた。

両足の薬指と小指ががすれて痛かった。
中大付属前からバスで武蔵小金井へ。JRで荻窪。地下鉄でひと駅移動し、LUUPで帰宅した。LUUPは、ほんのちょっとしか走らなかったのに150円かかった。高くなってからほとんど乗らなくなった。
入浴し、ウエルシアでビールを買ってきて飲んだ。真夏のランニング後みたいに美味かった。
靴擦れの原因を考える。AIによると、履いたソックスが厚かったからかもしれないとのこと。ソックスは去年富士クライムランで履いたやつだが、そういえばその時も、慣れたシューズを履いたのに靴擦れになった。
ビールをグイグイ飲み、軽く酔いが回ったところで、疲れているうちに寝てしまおうと思い、7時半就寝。
しかし、9時過ぎに目が覚めてしまった。『今日』がオレを『明日』に行かせまいとしがみついてきた。
『イン・ザ・メガチャーチ』読む。残りわずかだったが、ゆっくり1時間以上かけて読了。令和の日本を推し活というフィルターを通して眺め、個人の幸せの相対的な位置を測るような作品たった。
久保田慶彦は、レコード会社に勤める社員で、かつては洋楽アーチストを担当し、バリバリ働いていたのだが、現在は閑職で、妻とも離婚し、孤独感に苦しんでいる。そんな彼を、かつての同僚・橋本が、男性アイドルグループの運営チームに招く。仕事内容は、メンバー一人ひとりの経歴から物語を作成し、それをファンに提示することで、ファンダムの熱狂をコントロールすること。久保田は、再び日の当たる場所で仕事ができることよりも、求められたことを嬉しいと思う。読み終わってから振り返ると、その心の動き方は危うかった。
久保田の娘・武藤澄香は、母と大分県で暮らし、海外留学を目指して大学に通っている。父とは月イチでビデオミーティングをしている。父は澄香を同年代の子より聡明だと認識しており、娘も父が自分のことをそう思っているのだろうと感じているが、本人の意識はまったく逆で、留学を目指しているものの、語学力、動機、意識、コミュニケーション能力、自分の容姿、性格など、様々な部分で劣等感を感じている。楽になれるのは、バイト先の同僚・ユリちゃんと話している時だけ。ある日、例によって煮詰まり、大学の友達との予定をすっぽかし、ユリちゃんの家で宅飲みをした時、ユリちゃんが押しているアイドル・道哉のことを知る。道哉は、MBTIの結果が澄香と同じで、自分と同じ悩みを抱えていた。彼は私と同じだと思った瞬間、澄香は強烈な道哉推しとなり、ユリちゃんの部屋にあるアクリルスタンドを盗む。この道哉が、父の関わったアイドルグループのメンバーであるというところが、実に意地悪な設定だった。つまり、面白いということだが。
隅川絢子は、倫太郎という俳優の推しであることを通じて、同僚のいずみさんと友達になり、二人で純子の部屋にこもって倫太郎関連の番組を一緒に見たり、SNSのチェックをしたりしながら、オタライフを存分に楽しんでいる。独身で暮らしはカツカツでも、充実する日々だった。ところが、その倫太郎が自殺してしまう。事実を受け入れられず、倫太郎の死は自殺ではないという考えに取り憑かれた二人は、霊媒師のようなおっさんのところに通っては大金を払って倫太郎の声を聞き、その挙げ句、おっさんのところへ一緒に通うようになった女性から、倫太郎の死は陰謀であるという考えを吹き込まれ、陰謀説を唱える団体で活動をするようになる。絢子の章は、推しが自殺してしまったらそのオタはどうなるのかという、それだけでひとつの物語になるIfもの設定だった。
久保田はその後、メンバー個別インタビューをしている時、道哉から目の隈を指摘され、彼に歩み寄ってみようと思い、一緒にコンシーラーを買いに行く。ビデオ通話に映った父が突然コンシーラーを塗ってシミとか消していたので、澄香は仰天するが、久保田は道哉と近づいたと思いこむようになっている。
澄香は留学のことやクラスメートのことなんか頭からすっ飛び、留学のためと言っては父から金を無心し、道哉の推し活に注ぎ込むようになる。久保田も、娘が自分を頼るようになってまんざらでもない様子だ。おいおっさん、お前が道哉や娘に色々投影してるさま自体、物語じゃないか。
絢子といずみは平家物語のかむろみたいな髪型になり、メークもしなくなる。倫太郎推し時代を過去のことのように振り返り、渋谷のハチ公前で演説する計画など立てている。
久保田は、道哉が適応障害のため活動休止したことを気に病み、彼に寄り添ってあげることはできないものかと考えているが、同じチームの国見は、オタ思考に同調しはじめている久保田に釘を刺す。久保田はそんな国見を、なんか、たそがれて遠い目つきしてるっぽい感じに、あなたは友達がいますか? みたいに、心の中で問いかけたりしている。
澄香は道哉のグループのYoutube再生数を稼ぐために学校のPCを使ったり、ユリちゃんに再生数強力を頼んだりしているが、ユリちゃんは澄香のような入れ込み方はしていないらしく、距離を置く発言をする。
で、ラストは、久保田も澄香も絢子も行き着くところまで行き、絢子は真っ白な灰になり、澄香はそこまでは行けてないものの引き返せるポイントを通り過ぎ、久保田は入口から少し入ったものの拒絶されて引き返し元の木阿弥となる。
泣き叫んでいるいずみを見ながら、自分を使い果たしたように感じている絢子の境地は、ずばり、解脱のそれであった。オタ道をそこまで行ければ悔いはないのではないかという、朝井リョウなりのいち解釈だろうか。しかし、そう簡単にこの境地には達し得ないのではないかと、個人的に思った。
悲惨なのは久保田だろう。道哉が独りぼっちで苦しんでいるという物語を無意識に形成し信じ込み、個人情報を盗み見して道哉宅に直接押しかけるものの、運営スタッフの分際で家を突き止めて押しかけて来たことに、道哉と、道哉のケアのために来ていたメンバーは、(このおっさん怖っ!)と思い、運営にチクる。久保田は速攻で運営から下ろされ、社内の花形チーム一員になったことで、好意的に話しかけてくるようになった部下の青木も、手のひらを返したように再び久保田をシカトするようになる。久保田の心の支えは澄香のみとなってしまうが、その澄香は留学費用をどっぷり使い込み、もはや留学は不可能状態なのに、推し活上京し、渋谷のハチ公前で推しの広告をバックに仲間と記念写真を撮り、様子をライブ配信していた。その配信を久保田が見ていて、あとは、読後の余韻である。
久保田が解任される直前、国見は久保田にこう問うた。「視野を狭めるのって、楽しかったですか?」
物語で人を巻き込むのはこちら側だという態度を徹底し、それゆえに、オタへの感情移入をしがちな久保田の態度を懸念していた国見だったが、久保田に問うとき、内緒話のように声を潜めているところが良かった。それに対し、久保田はどう反応したのかは書かれていなかったが、国見に対し(友達はいるのか?)と疑問を持ってるくらいなら、この時の国見の質問に、超真剣に答えるべきではなかったか。声を潜めて聞くという態度と、超真剣に答える態度の組み合わせこそ、コミュニケーションであるし、それが成り立ってこそ、友達ではないか。娘を信じ、国見を憐れみ、道哉を心配する、そのすべてが、雰囲気たそがれ中年モノローグになっているのが、一番良くない。友達観も古かった。離婚原因の自己分析も、どうだかなあ。
久保田、お前、脇が甘すぎ。結局、物語に一番翻弄されていたのはお前じゃん。とりあえず地獄一周な。ゲームセンターあらし流の親指逆立ちで。


