おにぎり

 お握りはやはりおいしい。それも、直に手で握ったものが一番うまい。
 お握りといえば、椎名誠の小説「銀座のカラス」で、金のなくなった主人公の松尾勇が母親からおむずびの握り方の手ほどきを受け、給料日が来るまで毎日おかかのお握りを弁当に持参するシーンがあるのだが、握り方が妙に細かく描写されており、読む度にお握りが食いたくなる。
 あと「哀愁の街に霧が降るのだ」では、フライパンで作る巨大カツ丼の話が載っており、それを読むと1週間はカツ丼を食い続けてしまう。
 椎名誠の作品は食うことがそのまま男のロマンに直結しているので、読み始めたら始末に終えない。確実に4キロは太る。

 しかし現実として油断ちの毎日を送っている俺は、今日もお握り野郎になってお弁当持参である。
 俺が一番好きなのは、炊き立てのご飯におかかと葱を混ぜ、そのまま握ったやつである。
 今日はそれだ。だから稽古がちょっぴり嬉しい。

 オギノ式とのシーンの台詞を入れた。
 難しい台詞が多いので覚え辛かったが、何とかなりそうだ。

 オギノ式はここのところ徹夜だ。24日の夜に、新宿のアルタ近くの路上で、「ゲリラ戦隊ゲキダーン」というパフォーマンスをするので、その衣装などを丸ちゃん達とコツコツ作っているわけだ。
 なぜか今年は俺も出ることになった。
 「ドカさんは、精子マンという怪人です」
 20世紀最後のクリスマス、俺は精子の格好をして、新宿の路上でにょろにょろ動き回らなければならないみたいだ。