いきなりであるが、昨年の暮れから今年の初めにかけて個人的に「流行の店」であった千代田グリルが何の前触れもなく閉店した。
昼の混み具合はなかなかだったが、閉店理由は金だけではない。
色々な事情があってのことだろう。
兜町という日本経済における本丸にあったちっぽけな定食屋だったが、客層が兜町に勤める人々であることを考えると、今回の閉店はなかなか意味深い。
日本経済がついに千代田グリルをも閉店せしめたように思える。
21世紀に入り、日本という国のアイデンティティは色々な意味で変わりつつあるのだろう。
変化を好ましく思うのは基本的に若者だけだと思う。
年をとった者が受け入れる変化というものは、リセットボタンを押さなくても済む変化だ。
誰が好きこのんでそれまで集めたアイテムや経験値をゼロに戻したがる?
まあ、ゲームそのものがイヤだというなら話は別だが。
ここ数年反社会的な犯罪を犯してきた人々は、おそらくゲームそのものが気に入らなかったのだろう。
リセットボタンどころかゲーム機本体を壊したかったのだろう。
壊してから始まるゲームは?
彼らの頭にあったのだろうか?
変わりつつあるといえばサッカーだ。
ベルギーに引き分け、ロシアに勝った。
そして今日の昼、チュニジアを退けた。
スタンドで観戦しているサポーター達は、歓喜と同時に変化を味わったのではないだろうか。
目の前にいるのはもう、不安定だった日本チームではない。
そしてもう我々は、勝つだけで喜べない。
日本サッカーの歴史は今回の大会で確かに変わったらしい。
ということは、もう戻れないのだ。
戻れないということには字義通りのリスクが伴う。
それをほんのわずかでいいから意識しておかないといけないと思う。
サッカーにかかわらず、だが。
夕方6時より沼袋で稽古。
阿部千尋。
松井智美。
そして鶴田マミの3女優が顔を合わせた。
マタタビを嗅いだ猫状態の阿部さん。
猫じゃらしに囲まれた猫状態の鶴マミ。
そして踊る猫が松井智美だ。
暗くなりがちなシーンをエチュードで試してみる。
今の段階では明るくしたり出来ないので、やるのも見るのも辛い。
芝居が辛いというのではない。
その場を『生きる』辛さがダイレクトに伝わりすぎ、演劇の枠を飛び越えてしまうのだ。
9時半に稽古終了。
小金井に帰りサッカー関係のニュース番組を見る。
韓国も決勝トーナメント出場を決めたらしい。
素直にめでたいと思う。