7月初旬の海は空いている

　晴れ間を盗んで鎌倉に行った。
　稽古が続くとおそらく海に行く時間的気分的ゆとりはなくなるだろうと思い、手遅れになる前に行っておこうと思ったのだ。
　そういう意味では幸い今年は6月から暑い日が続き、由比ヶ浜はすでに海開きをしていた。

　鎌倉へ行くと必ず行く「キャラウェイ」という店でカレーを食べる。
　ライスが一合くらい盛られるのでボリュームがある。
　しかし、これまでその程度のライスに負けたことなどなかった俺が、四分の三ほど食べた時点で、
　「まだこんなに残ってるの？」
　と思ってしまった。
　もちろん全部食べたが、そんな弱気なことを思った時点で負けている部分がある。
　そしてその負けを抱えたまま、由比ヶ浜まで歩いた。

　風が強いためか、波はかなり高かった。
　浜辺はまだ空いており、海の家は一、二件くらいしか開いておらず、残りは建築中だった。
　今の時期に海に来るのは地元の人や近場の人だけみたいだった。

　水は冷たくなかったが、風が強いためあがると寒い。
　寒さを凌ぐために太陽の光を浴びる。
　昨日からの疲れがどっと出て、熟睡する。
　やがて、暑さで目覚める。
　海に入る。
　泳ぐ。
　疲れてあがると風が寒いので横になって太陽の光を浴びる。
　寝る。
　起きる。
　海。
　泳ぐ。
　あがる。
　寝る。

　そんなことを三回繰り返し、由比ヶ浜を後にした。
　鶴岡八幡宮で、今回の公演が成功するようにお祈りをする。
　途中、カップルに写真を頼まれたので撮ってやり、さらに、蓮の池で女の人が飛ばされた帽子を池に落ちる寸前でキャッチし返してあげた。
　神様の前でいいとこを見せることが出来てよかった。

　サイゼリアでパスタを食べ、うちに帰る。
　冷たいシャワーを浴びてから、プレスリリース原稿と台本書き。
　よく泳いだせいか、気が高ぶり、三時まで作業をしていた。