SPAMメールと生きる

 昨日の夜は、酒を飲んだら腹が妙に膨らんだ。
 横になると「チャプン」と音がした。
 いい具合ではない。

 今朝起きた時、体の調子は特に良くも悪くもなかったが、昼を過ぎたあたりから頭がぼーっとしてきた。
 頭蓋骨の合わせ目が緩んでいるような感じだ。
 インターネットで体のツボを調べ、指圧することで応急処置をした。

 雨が降ったりやんだりと、はっきりしない。
 気温の方も冬なのか春なのか、はっきりしない。
 たぶん体もその影響を受けているのだろう。

 昼は弁当を作らず、公園でカップ麺をすすりながら、猫を眺めた。

 車いすに乗ったおじさんが、毛繕いをしている白黒の猫に近づいた。
 「おーら、おいでおいでおいでおいでおいで、おーら、おいでおいでおいでおいで」
 呪文のように称えながら猫に近づく車いす。
 猫はビクッとして下がる。
 「おーら、にゃんにゃんにゃんにゃんにゃん、おいでおいでおいでおいでおいで」
 呪文のバリエーションが少し変わったが、猫は警戒心を解かない。
 車いすは猫の退路を塞ぐルートをとりはじめた。
 「おーら、にゃんちゃんにゃんちゃんにゃんちゃん、ちっちっちっちっちっ」
 退路が完全に封鎖される寸前に、猫は茂みの中へダッシュして逃げていった。
 車いすは茂みに近づいた。
 「おーら、おいでおいでおいでおいでおいで」
 おじさんは茂みの中に向かって呪文を繰り返していた。

 昼過ぎから夕方にかけ台本書き。
 ようやく冒頭シーンが出来そうだ。
 書いたり消したり、設定を変えたりを、かれこれひと月も繰り返していると、
 (この話はモノにならないのかな)
 と不安になる。
 しかし今回はそこで投げ出さず、全部書ききるのが目標だ。
 修行だと思ってやり遂げないといけない。

 夕方、実家に帰る。
 運動不足による疲労感とでもいおうか、体がうずくような感覚を覚えた。
 ご飯を食べてもあまりおいしくない。
 胃にたまる感じがする。

 風呂にゆっくりとつかると、すこし気分が楽になった。
 ついでに風呂上がりに青竹を踏む。
 もの凄く痛かった。
 やはり体調が悪いのだろう。

 『黒部の太陽 ミフネと裕次郎』読む。
 ドキュメンタリー部分は読了。
 シナリオを少し読む。
 無駄のなさ、構成の緻密さにため息が出る。

 最近、SPAMメールがすごい。
 一日10通以上来る。
 そのすべてがエロメールだが、声に出して読むと面白い。
 誇大妄想ファンタジーに満ちている。
 台詞の参考になる。
 カテゴリ別にわけて保管しておき、それらのメールをXという人物が出したと仮定して、人物のプロファイリングをしたら面白いだろうかと一瞬考えたが、ミスしてリンクをクリックしてしまったら面倒になるのでやめた。
 だが、一応今でも文章は読むようにしている。
 (これは、誰かがエロネタで俺を笑わそうとしているんだ)
 そう思えば、煩わしさも少しは減るというもんだ。

 だが、転送をかけているPHSのが、左卜全の「老人と子供のポルカ」なので、SPAMメールがくるたびに「ズビズバー♪パパパヤー♪」と流れ、神経が逆なでされる。
 だからいつだってバイブ着信だ。
 これじゃ、の意味がない。