『あなたがパラダイス』読む

昼前に起き、掃除洗濯をする。
平日にみっちり稽古があると、たまの休日にまとめて家事をやっておかないと、本番間近大変なことになる。
めしを食う箸がない。
茶碗もない。
着られるシャツがない。ズボンもない。
はける靴下がない。パンツもだ。
しようがねえ。今日はめし抜きで全裸外出だ。

なんてことになりかねないから、一人暮らしを始めた当初からわりにその辺には気を遣って生きてきた。
それでもたまに、リミットを越えてしまうことも過去にはあった。
日々の稽古に疲れ果て、何もする気がしないまま泥のように眠る果てのノーパンとか。
稽古場でジャージに着替える時、
(やべえ、今日のオレ、ノーパンだ)
と気づき、慌ててトイレで着替えたりなんてことも二度三度あった。若いっていいな。
いいか?

平安寿子『あなたがパラダイス』読む。
更年期を迎えた女性を描くオムニバス小説。
大変面白い。
図書館に勤める独身女性の話。
親の介護とホットフラッシュに悩む女性の話。
離婚して鬱になった女性の話。
これらすべての話に、ジュリーが絡んでいる。
いわば<ジュリー噺>

ジュリーのファンでなくても十分に楽しめる、実に巧い小説だった。
特に一本目のラストで、インドネシアに行ってしまう男性に向かって『勝手にしやがれ』を振り付きで歌うシーンは、情景が目に浮かぶようだった。
非常に演劇的だった。

この本を読むと、
(やっぱりジュリーは、女性のものなんだな)
と思う。
男性向けに同じテーマで書くとしたら、誰がモチーフになるだろう?
やはり、永ちゃんか。

沢田研二と矢沢永吉は、対の存在なのかもしれない。

ジュリーは今でもツアーを続け、毎年アルバムを出しているという。
読んで知った。
これは凄いことだ。
70年代にアイドルと呼ばれた男性歌手で、そこまで濃い音楽活動を現在も続けている人はほとんどいない。
ニューミュージック系にいるだけだ。

ジュリーは今年還暦を迎える。
いずれ近いうちに、音程のコントロールができなくなるだろう。
堺正章、井上順はすでにそうなりかけている。

その前に、一度ライブに足を運びたいものだ。
男が行っても大丈夫か心配だが、客層がオレにとって<お姉様>ばかりならば、かわいい坊や扱いされるやもしれず、怖いような、すごく怖いような、超怖いような気がする。

夜、大根とイカの煮物、切り干し大根で夕食。
少ししてからジョギング。10キロ。
49分ちょうど。
そのまま42.195キロ走れれば、3時間半を切るだろうが、無理だな。今は。