1991年の週刊誌

一日中雨。
4月のこの時期はよく雨が降る。
一雨ごとに暖かくなり、若葉が萌える。
並木道に木陰ができ、散歩が楽しくなる。
そうなればもう初夏だな。
初夏の夜、虫が「ジーッ…」と鳴いているのを聞きながら歩くのが好きだ。
草の匂いがするとなお良い。
雨上がりなんか特に。

夜、遅れて稽古参加。
台詞のないシーンが続く。
役になって考えると、途中で逃げ出したくなった。
そこで、袖口にはけてみたところ、しばらく誰にも気づかれなかった。

はけると、ラストの台詞が非常に言いやすくなる。
舞台上に人が多すぎるよりは、ミザンセーヌの整理もつけやすいだろう。

などと考えているうちに稽古は終了。
「どうしましょう」
という台詞しか言えずに終わったが、得たものは大きいかもしれん。

実家へ帰る。
ベランダの荷物を整理したらしく、そのすべてが俺の部屋に置かれていた。
寝られやしない。

仕方ないので段ボールの中を少し整理すると、懐かしいものが出てくる出てくる。
童話、子供向け百科豆本、教習所卒業時にもらった初心者マーク、大学時代の写真、入学のしおり、就職のしおり、教育実習日誌、週刊明星最終号、書き散らした台本、ゼミの演習プリント、文献の類…

週刊明星の最終号は、1991年12月に買ったものだ。
稽古の休憩中、学校の近くにあったマイマートすずきという店で買ったのを覚えている。

読んでみた。
17年前の芸能週刊誌であるから、今と感覚がまるで違う。
1970年代アイドルの写真には、
「時代を感じさせるファッション」
と揶揄したキャプションが書いてあった。

2008年現在の感覚で見ると70年代の方が格好良く見える。
1991年のアイドル写真を見て思う。
時代を感じさせるファッションだ。