いつでも初日は

8時半起き。
久々に私服で劇場に向かう。

10時に劇場入り。
客席の掃除をし、椅子を並べる。
スタンバイ体勢に入ったので、カップめんをすすり、衣装に着替える。

今回の公演は10日間あるため、気ぜわしくならないよう、身の回りのことなどを早めに片づけるようにしている。
たとえば家の洗い物をためないようにするとか。
洗濯できる時間をうまくやりくりするとか。
そうしたことが案外芝居に大きい影響を与えるのである。

楽屋でさかしたさんに、
「GSは聴いてましたか?」
と質問してみた。
するとニヤリ片頬笑いとともに、
「なんでも聞いてください」
という答えが返ってきた。
スパイダースのファンで、京都から日劇に通って補導されたこともあるらしい。

スパイダースはいい。
今聴いてもカッコいい。
『メラメラ』はクレイジーケンバンドがコピーしたのを聴いたけど、スパイダースのオリジナル版とそんなに変わってなかった。
古びてないということだ

1時開演。
役者の声から初日特有の緊張が聞き取れた。
お客さんの反応が割にあったため、役者のテンションも上がり気味だった。

大ミスはなく終演。
ステージ数が多いので、芝居をさらに進化させられるような気がしてそれが嬉しい。

綾香が見に来てくれた。
紅葉に引き合わせ、
「二人、顔が似てると思うんだがどうだ?」
と、誰ともなく振る。

ソワレまでのフリー時間中、五十嵐さんや竹内さん、岩間君などと話をする。
馬鹿話をし過ぎると言霊が出て行ってしまう気がするのでほどほどに。

『グッドラックララバイ』読む。
妹は離婚しビジネスに目覚め、父は退職し鬱になり、姉は相変わらずそのまま。
(イヤなやつだなこいつ)
と思う登場人物はたくさん出てくるが、『模倣犯』のように絶望的に悪い奴が出てこないのは良い。
ほどほどだから、ムカつきながらも許せる。
<許す>訓練をしている気になる。

ソワレ開演。
全体的には昼よりミスが目立った。

今回は台本に忠実に演じている。
かといってロボットと化すわけではないところに、役者の創造性があるわけだ。
作家はいくら頑張ってもすべてを書ききれるわけではないし、演出もすべてを形作れるわけではない。
そして役者も一人で演技を決められるわけではない。
三位一体になってこそ、発するエネルギーは倍加する。
わかっていたつもりのことだが、今回の稽古ではそのことを随分深く考えさせられた。
だから、好き勝手にやってるようで、実は結構真面目にやっている。
そして、真面目にやっているようで、好き勝手にやってもいる。

ソワレ終了後、駒込で飲む。
初日打ち上げ。
桐原さん、木の実さんに囲まれ、
(ここは男気をみせねば)
と本宮ひろし的な気合いを入れ、大ジョッキを3杯とホッピーを飲み干す。

11時散会。
帰宅後、洗い物はさすがにできず。
1時半に速やかに寝る。