一曲一曲にギュッ

『彼岸過迄』読了。
語り手の視点が次々と変わり、唐突に終わった。
好きな読者は多くないかもしれないが、俺は大好きだ。
最後まで妙な感じが続くところが実にいい。

ヘミングウェイ『移動祝祭日』読みはじめる。
1920年代にパリで過ごした日々のメモワール。
青春記録というべきだろう。
新訳で非常に読みやすい。

夕方、下北沢のシアター711へ。
渡辺大慈・慎一郎くんの出演する舞台を観る。
慎一郎くんは気のいい兄を、見せず自然に演じており、その穏やかさに好感が持てた。
過去にイルカ団で見た時のピリピリした殺気が完全に封印されており、そのへんは踏んできた場数の多さかもしれないなあと思った。

大慈さんはあくまでも自分の得意な柄を押し通していた。
体も大きくていい。
一度、きこりとかやってもらいたい。

9時半帰宅。
クレイジーケンバンドのニューアルバム『MINT DONDITION』がAmazonから届いていた。
早速聴く。

ここ数年の傾向とは違った、新しい方面を開拓しはじめる嚆矢となる作品だったと、数年後に振り返るアルバムだと思う。
CKBは何年かに一度、そういうアルバムを出す。
『777』『GALAXY』がそうだと思う。
『MINT CONDITION』も、傑作とかそうでないとか、好きとか嫌いとかではなく、CKB作品史のネジを大きく巻く1枚だ。

相変わらず歌詞がいい。
ドラマや情念やメッセージが、一曲一曲に凝縮されている。
短編小説のようだ。