台風明けの初日

夜から明け方にかけて、強い雨と風の音が聞こえた。
朝起きてしばらく名残があった。
10時に家を出る。

交通ダイヤが乱れていた。
JRは運転を見合わせていたので丸の内線に乗る。
国会議事堂前で千代田線に乗り換え西日暮里へ。
劇場まで歩こうと思ったが、いいタイミングで山手線がきたのでそれに乗る。
12時少し過ぎに劇場到着。

2時からゲネの予定だったが、開始時間を少し押す。
スチールの浅香到着。
久しぶりに会う。

14時半にゲネプロ開始。
客席と舞台を往復しながら芝居を前から見る。
前半テンポが早かったが、全体的には大きなミス、事故はなく、台詞をすっとばすこともなく、稽古量を背景にした地力を感じた。

場当たり後、浅香と話す。
「『光陰』より、重いんじゃないの?」
と言われた。
2002年にやった作品よりも、重い印象を受けたとのこと。
「前回のマグ不足が、楽しいやつで、今回これで、混乱するよ」

今回は、意識して重い作品を作ろうと思ったわけではない。
ミステリ風のものをやろうと考え、ストーリーを突き詰めていくうちにこうなっていった。
こうなる運命だったように感じている。

開演前、初日打ち上げについて、楽屋の役者にひと声かける。
今回のメンバーは皆大変仲が良いのだが、飲みの席で役者だけで固まってワイワイ騒がず、スタッフさんを囲んでねぎらうようにして欲しい。

同じことを25歳の時、そのことで師匠に怒られた。
「打ち上げはスタッフ慰労会と思え」

19時開演。
前半、ゲネに比べ、役者が空間になじんでいなかった。
お客さんの前で初めてやることを意識したぎこちなさがあった。

半ば以降、感情的爆発がある場面から先は、集中力が戻った。

稽古でやって来たことを逸脱せず、繰り返してきたことをちゃんと出せるかが心配で、演技を気にするというというよりも、無事にカーテンコールを迎えられることだけを祈っていた。
どんな芝居を上演する時でも同じだ。
初日の緊張はいつも同じ。

無事終演し、カーテンコールが終わり、楽屋に戻る時に一人ずつと握手して回った。
とにかく、色々な苦労を経て、初日を終えることができた。
出来はどんどん良くしていかねばならないが、それはそれとして、感謝したかった。

お客さんを送り出し、打ち上げ会場へ。
観客できていたトシさんが、先に飲んでいた。
乾杯をし、田中さん、松本さんのテーブルで、お疲れ様でしたと話す。
笑里ちゃんが、酔いも回ったせいか、松本さんにさかんに話しかけていた。

田中さんと、テクノ音楽について少し話す。
YMOが至上の存在で、話し始めると引かれるから、話さないようにしているらしい。
自分にとってそれはビートルズだ。

12時にとりあえずお会計となる。
残っている面々もいたが、終電前に帰る。

1時帰宅。