祖父のこと

深夜の「CDTV」でPerfumeのライブを観てから、DVDで『大鹿村騒動記』を観て、少ししたらコタツで寝落ちしてしまった。
朝の6時に起きたが完全に寝ぼけていて、自分の部屋に戻り布団を被って寝てしまった。
初日の出は見られず。

9時過ぎに起き、おせちを食べ、熱燗を少し飲む。
喉が渇き、近くのイオン系スーパーでミネラルウォーターを買う。
午前中、テレビでは駅伝をやっていた。
母が昔話を始めた。
父親、つまり俺にとっての祖父のこと。
祖父は母が高校生の頃に亡くなっているので全く知らない。
写真で顔を見たことすらない。
母は成人前の写真をほとんど持っていない。

祖父は戦前、国鉄に勤務していた。
赴任先は韓国のソウル。
調べてみた。
おそらく歴史上有名な南満州鉄道ではなく、朝鮮総督府鉄道だったろう。
戦後は家族を引き上げさせ、国鉄に定年まで勤務した後、木場で知人と材木業を営んでいたらしい。

「ソウルに住んでいた頃、海水浴に連れて行ってくれた時にね、駅に着いたら兄弟の誰かが忘れ物をしたの。そしたら父がね、取ってきてやるって行って、家まで走って取りに行ったの。汽車が発車するちょっと前に、走って戻ってきてね。その姿だけ、鮮明に覚えてる」

戦後は、休みの日に浅草の寄席へ通っていたらしい。
なぜかお供はいつも、次女の幸枝おばちゃんだったそうだ。

「なんで幸おばちゃんだったんだろう?」
「さあ。でも幸ちゃんも、毎回つき合ってたわけじゃなかったみたい」

この幸枝おばちゃんは、今思えば不思議な人だった。
学生時代から数学がよく出来る秀才で、最後まで独身だった。

「幸ちゃんに惚れた男の人がいたのよ。うちに通ってきて、すごくいい人でね、イヴ・シャンピって呼んでたの。でも幸ちゃんがダメで。面食いなのよあの人」
「イヴ・シャンピ?」
「ほら、岸惠子と結婚したフランス人」
「ああ」
「頭が薄かったの」

どのシャンピが?
聞きそびれた。

昼過ぎまで、寝正月のための睡眠をとる。
初夢を見た。
何かのテレビ番組をやっている。
ビートたけしが村上春樹の批判を始めると、横にいた内田樹が村上春樹の弁護を始める。
そのうち二人の間が険悪になったので、テレビから背を向けて離れるという内容。

2時半に起き、昨日すべて見られなかった『大鹿村騒動記』を見る。
長野の大鹿村が舞台。
村には大鹿歌舞伎という300年続く伝統の芸能がある。
その本番が迫っているある日、景清を演じる原田芳雄のところに、かつて自分の妻と駆け落ちした親友の岸部一徳が、妻の大楠道代と戻ってくる。
妻は認知症になり、岸部一徳のことを忘れている。

90分ちょっとの小品佳作映画だった。
秋の大鹿村が美しい。
歌舞伎の場面は、神社の舞台を見ているだけで楽しかった。
出演者がさりげなく豪華で、年寄りは年寄り、中年は中年、若者は若者を、ちゃんと演じていた。
下手だなあ、イヤだなあと思う役者が一人もいなかった。
一年の最初に見る映画がこれで良かった。

見終わり、気分が高揚したところで、早めに夕食。
雑煮だけかと思ったら、昨日のスキヤキの残りが出てきた。
相撲部の合宿みたいな量を食べた。
腹ごなしに外へ。
ぶらりと歩き、ハーゲンダッツを買って帰宅。

郵送したWindowsXPパソコンが起動しなかったので、マザーボードのボタン電池を取り替えた。
記憶された古い情報をクリアしないといけない。
CMOSクリアという。
過去、1回だけやったことがある。
そう何度もやることじゃない。

CMOSクリア後、XPの画面にたどり着いた。
懐かしかった。
2006年の11月に作り、2014年の3月まで使っていたパソコンだ。
長らく実家パソコンとして使ってきたGatewayPCは、役割を終え、パソコン部屋の絨毯の上にある。
ここ数年は電源を入れることがほとんどなくなっていた。
これまで何度も、そろそろお別れかもしれないと日記に書いてきたけれど、とうとう本当のお別れだ。

XPパソコンは、長年使ってきたマシンなので、すぐに馴染んだ。
過去メールのバックアップがすべてこのパソコンにあるので、データを取り出さないといけない。

東西対抗漫才の番組をやっていた。
笑い飯を見てから風呂に入り、番組が終わる間際にパンクブーブーを見た。
たくさんのコンビが出場していたが、レベルの差が激しかった。

NHKのケータイ大喜利にチャンネルを変える。
漫才番組よりも面白かった。
今田耕司の仕切りを堪能する。

ファミリーヒストリーという番組を見る。
再放送らしく、今田さんが出ていた。
母親が経験した、パラオ引き揚げのストーリーだった。

なんとなく起きていた。
寝正月のツケを払わされているみたいだった。

石渡治『B.B』を最後まで流し読んだ。

一介の高校生がボクシングを始める。
卑劣な相手を殴り殺し、彼女と別れアメリカに亡命。
裏ボクシング界でチャンピオンになるがマフィアに命を狙われ逃亡し、特殊傭兵部隊に入隊。
アフリカの作戦で捕虜になり、ソ連に洗脳される。
やがて助け出され、穀物王と知り合い、アメリカ人の市民権を得る。
デビュー戦で世界チャンピオンになり、最後はライバルと世界規模の試合を横浜でやるが、最終ラウンドで敗北。
試合後数年間眠り続け、ある日突然目覚めて海辺で微笑む、というストーリー。

波瀾万丈にもほどがある。

今は持っていないが、どおくまんの『熱笑!花沢高校』も、すごかった。
一介の高校生が、番長になり、悪の高校生番長組織「北大阪の虎」と戦い、壊滅させる話。
前半はギャグ漫画調だが、中盤以降はシリアス。
読者の男女比はおそらく、10000対1、くらいだったのではないか。

実家が引っ越しをする頃に捨ててしまったが、時々読みたくなる。

リアリズム関係無しの、ぶっとんだ設定の漫画の方が、ダラダラ過ごす時にはちょうどいい。

5時就寝。