思い出し解放

午前中、「さくら水産」の名前が思い出せないで困った。
別に誰かから聞かれて答えなけりゃならないわけでもなかったのだが、あの居酒屋、ほら、あの安い、魚肉ソーセージ出すとこ、なんつったっけ? と、ひとりで煩悶していた。
こういう時は脳に刺激を与えればいいと思い、指回し体操を久しぶりにしてみたら、二度目の薬指で思い出した。
そうだ、さくら水産だ。

何でもないことが思い出せなくなった時のストレスと、思い出した時の解放感の落差はすごい。
「千と千尋の神隠し」でいえば、「お婆ちゃん駄目、ここにはお父さんもお母さんもいないもん」から「大当たりー!」の場面みたいな解放感だ。

昼、どこで飯を食おうか考えるまでもなく「さくら水産」に行った。
久しぶりだった。
飯をたくさん食うなら、やはりここだ。

夕方、上野へ。
スポーツジュエンのランニング館で、シューズと新しいウェアを買う。
いつも本館で買い物をしていたので、ランニング館なんてのがあるのを知らずにいた。
が、ランニング用品だけしかないので狭く、フロアはウナギの寝床みたいで、買い物はしづらかった。

買い物を終え、新御徒町まで歩く。
黒田さんのピザ屋へ。
カウンターがあいていた。

万願寺唐辛子とレンコンの肉味噌ピザを頼んだ。
「なに、マラソン?」
ジュエンの買い物袋を見て黒田さんが言った。
「ええ、実は土曜日が本番なんです」
「よく走れるよなあ。塚本、昔、そんなに走るの好きだった?」
「全然好きじゃなかったですよ」

など、話していると、ピザはすぐ焼けた。
万願寺唐辛子のことを、万願寺ネギと間違えて覚えていたので、トッピングされた青い唐辛子を見て、やっぱり関西だから青ネギなんだなあと思った。
「ネギは、青いとこ使うんですか?」
と聞くと、
「唐辛子ね」
と即答され、一瞬何を言われているのかわからず、「サクラスイサンサクラスイサン」という声がアラームのように脳に鳴り響いた。

Mサイズを食べた。
唐辛子はまったく辛くなくて、獅子唐のような食感だった。
肉味噌とチーズの取り合わせが旨い。

食べ終わって少し話してからお店を出る。
大江戸線で帰る。
9時半帰宅。