雪といやあ

 昨夜は日本酒を4合ほど飲んで寝たのだが、今日起きたら12時だったのには笑ってしまった。生活が爛れていやがる。
 昼飯を食い、寒いので外に出ることもなく、淡々と午後を過ごした。
 淡々と午後を過ごす時はコーヒーの量が増大する。

 飯野の芝居「黄金バスト」の稽古が始まり、案の定マグネシウムの新作を書く時間がなくなった。
 タイトルだけでも決めなければと、メモ帳片手に考えるが、考えたからといっていいものが浮かぶわけではない。
 釣りと同じだ。
 魚が食うように仕向ける発想の方が大切だ。
 となると、アイディアがひらめくように仕向ければいいわけだ。
 馬鹿馬鹿しくて面白いものにしたいと考えているのだから、こういう時は馬鹿馬鹿しいものや面白いものをいっぱい見ればいいのだ。
 そんなわけで浅草キッドのホームページを見て過ごす。
 相変わらず面白い。

 夕方雪が降ってきた。
 西葛西という町は海が近く、よほど降らなければ積もることはないのだが、9時ごろ外を覗いて見たら車道も歩道も真っ白だった。

 雪が降ると外に出て行きたくなるのは、東京育ちだからだろうか。
 何しろ早く遊ばないとすぐにとけてしまうので、風邪気味でも外に出て遊んだものだ。
 母親に「あんた、風邪気味なんでしょ、やめときなさい!」
 と、怒鳴られようが、
 「ぼくら、遊びで遊んでいるんじゃないんだ」
 と、白い世界へ猛ダッシュして行った。
 そして風邪をひいた。

 思い出すのは(もともと俺はやたらと思い出すのだが)中学1年の冬に降った大雪だ。
 友達と小1時間かけてミニかまくらをこさえ、やっと中学生2人が何とか入れる状態になったところで、あたたかい飲み物を買いに行って帰ってきたら、何物かによってそのかまくらはぼこぼこに壊されていたのだ。
 犯行現場からの足跡を辿ると、あるおもちゃ屋の入り口でそれはぷっつりと途絶えていた。
 ブチ切れた俺と友人はそのおもちゃ屋の前で日が暮れるまで犯人を待ち続けた。
 そして風邪を引いた。