4時起き。部屋にある電気ケトルで湯を沸かし、朝飯に焼きそば弁当を食べた。
4時半にチェックアウトし、車を北に走らせる。
ポロフンベという、映画『北のカナリアたち』のロケ地に行ってみたが、民家があり、車をとめられそうなスペースが見当たらなかったので、ゆっくり通り過ぎるだけにした。
島の外周道路を反転し、反時計回りに進んだ。昨日泊まった沓形地区を過ぎ、麗峰湧水へ。道沿いにある湧き水スポットだった。路駐できるほどのスペースがあったので車を止め、手で水を飲んでみた。雑味の一切ない水だった。空になった麦茶のペットボトルを洗い、水を汲んだ。



昨日、時間がなくてスルーした南浜湿原へ。駐車スペースは小さかった。ここも、姫沼と同じように、メヌウショロ沼を囲むように遊歩道があった。写真を撮りながらゆっくり歩いた。人の気配を感じ、遊歩道の両脇に潜んでいた鳥がひっきりなしに飛び立った。朝の6時頃だったので、まだ起きて活動していなかったのだろう。







利尻島は、利尻富士にたっぷり降った雨によって、麓に沼と湿原が形成される。島にいる捕食者はイタチくらいなので、鳥にとっては楽園なのだろう。もし、昆虫、草花、鳥のすべてに興味があったら、魅力がありすぎて、一日の滞在じゃとても満足できないだろうと思う。
二石海岸公園へ。石が転がった海岸だったが、石にペイントするための絵の具類が置かれていて、そこら中に観光客が文字や絵を描いた石が転がっていた。俺もひとつ、パーマン1号でも描こうかと思って、箱の蓋をあけたのだが、ぐちゃぐちゃになっていて、使えそうな絵筆がなかった。



ぺぺ岬へ。鴛泊フェリーターミナルの近くだった。港に車を止め、岬に上る小道を探していると、小さいトンネルがあった。その向こうに海が見えた。トンネルを抜けてみると、草むらに猫がいて、逃げずに鳴き声を上げていた。痩せていて、飼い猫ではなさそうだった。


港近くに、昆布の干し場があった。


ミニ登山道という趣の道を上がり、ぺぺ岬へ。上りはかなり旧だった。途中、会津藩士の墓があり、そのあたりの草を、管理する人が刈っていた。気さくに挨拶された。



ぺぺ岬を降りると、時刻は8時を過ぎていた。少々早かったが、車を返すことにした。
カーシェアのステーションに車を止め、会員カードを車後部のセンサーにかざして、ロックをかけようとしたが、何の反応もなかった。原因がわからなかったので、電話で問い合わせると、車のキーについている四角い部分を、ボックス内にある差し込み口に差し込んでくれと言われた。そのようにすると、返却時の注意が車内スピーカーから流れ、車後部のセンサーに会員カードをかざすと、無事ロックをかけることができた。
鴛泊フェリーターミナルへ行き、2階で礼文島行きフェリーを待つ。
9時半、礼文島行きフェリーが出港した。着くまで『奪われた集中力』の続きを読んだ。
10時半、礼文島の香深港到着。ターミナルのコインロッカーに、リュック内にある荷物の一部を預けて鍵をかけた。
港にあるレンタルバイク店で50ccのスクーターを借りた。

南に走り、北のカナリアパークに向かう。途中で、小学生くらいの男の子と父親のサイクリストコンビを追い抜いた。
カナリアパークは、海沿いの道からけっこう坂を上ったところにあった。映画のロケ地が公園として残されたものらしい。セットだった校舎の周りを歩いていると、崖下から風が吹いてきた。たいそう気持ちの良い風だった。


スクーターを止めてある所に戻ると、先ほど追い抜いたサイクリスト父子がちょうど道を上がってくるところだった。彼らと入れ違いに、スクーターで道を降りた。
香深港そばにある『炉ばたぢどり』に向かう。10時50分頃に店の前に着いた。開店前から並ぶ店だというレビューがあったが、今日はお盆前の平日なので、さすがにそこまではいかないようだ。
店の前のベンチに座り、開店を待っていると、それでも5分前くらいに、3組くらいの客が来て、後ろに並んだ。
11時開店。「焼き物食べますか?」と聞かれたので、迷わず「はい」と答えると、炭の上に金網がのっている席に案内された。当然、暑かった。
ほっけのちゃんちゃん焼き定食、ご飯大盛りを頼んだ。
ほっけは、皮を下にして金網で焼かれた。胸部分に味噌ダレと刻んだネギがのっていた。数分経つと、店のおばちゃんがへらを持ってやってきて、食べ方の説明をしてくれた。
尻尾の方から焼けてきたのを箸でほぐし、味噌ダレをつけ、ご飯にのせて食べた。身の旨味と脂の滋味と味噌ダレの香りが口の中に広がった。それらすべてをご飯でひとかたまりにしながら、咀嚼し、飲み込み、次の身をほぐした。しばらく夢中になってほっけとご飯を食べ、身をほぐし終わった部分が増えてから、焼けた皮を食べた。ここも、皮目が香ばしく焼かれており、皮の裏には身が残していった脂と旨味が残っていた。



尻尾と骨だけを残して全部食べた。焼いた魚の旨さと、ご飯との相性の良さを再確認した。ウニ丼もメニューにあったが、10000円以上もした。
店を出ると、先ほど北のカナリアパークで会ったサイクリスト父子が、ちょうど店の前にやってくるところだった。またも入れ違いになった。
スクーターに乗り、道を北に向かった。炭火の前で食べたため、けっこう汗をかいていたが、バイクを走らせているとすぐに引いた。
45分ほどスクーターを走らせ、礼文島最北端のスコトン岬へ。



岬そのものよりも、そこまでスクーターで移動することそのものが、島を体感するアクティビティになっていた。島の移動はスクーターやバイクがいい。
スコトン岬からは、香深港に戻りながら、途中気になったところに寄り道するスタイルをとった。
澄海岬へ行き、島の西側の海を眺めた。礼文島は、島の東側の地形はなだらかで、西側は切り立った崖になっているようだった。


アザラシの見える場所、という海岸に寄ってみた。沖の方にある岩場を、スマホの望遠で撮影してみると、3頭のアザラシが日光浴をしていた。

礼文空港へ。20年くらい運用休止状態にあるらしい。廃墟好きとしてそそられる案件だった。



そのあたりから香深港までは、特に有名な観光地はなかったので、景色を見て風を感じながら、ただただスクーターを走らせた。途中、海岸沿いで昆布干しをしている人々を何度も見かけた。止まって写真を撮ろうかと一瞬思ったが、なぜか、失礼な行為のように思えたので、やめた。
香深港に戻った時点で、時刻は2時を過ぎていたが、返却予定の3時半までまだ時間があった。
港を背にして山の方へ上ってみることにした。Googleマップは見ず、ただただ上った。
閉鎖されたトンネルの入口に着いた。

あとで調べると、新しいトンネルが開通したため、封鎖されたらしい。来た道の途中で新しいトンネルへの道があったのたが、気にせず通り過ぎてしまった。そちらを通り抜ければ島の西側に出られたのに。残念だ。
しかしこの時はそんなことは知らず、来た道を戻り、狭い上り道を見つけてさらに上った。
やがて、桃岩展望台の入口にたどりついた。展望台はさらに200メートルほど上っていかねばならないようだった。



時間があったら上っただろうが、時刻は2時45分を過ぎていた。展望台と思われる山の稜線を歩く人の影はとても遠くに見えた。スクーターの返却時間に間に合わないと困るので、ここで引き返すことにした。
来た道を延々と下り、ガソリンを満タンにした。200円ちょっとしかかからなかった。
スクーターを返却し、フェリーターミナルそばの温泉に行った。

昨日と同じく、サウナと冷水を往復し、温泉にたっぷりつかった。風呂から上がり、休憩所で缶ビールを飲んだ。
土産物店で昆布を買い、4時半にフェリーターミナルへ。コインロッカーの荷物を出してリュックに入れ、5時過ぎの稚内行きフェリーに乗った。
稚内まではおよそ2時間かかった。到着する直前に、太陽がちょうど海に沈んだ。

稚内港から、稚内駅のセコマまで歩いた。セコマでビールと焼きそば弁当を買った。
7時半頃に宿に到着した。ものすごく安いゲストハウスで、食事は共用ルームでとらないといけなかったが、お湯もあり、カップも借りることができたので、焼きそば弁当のゆで汁で備え付けのスープを無事に作ることが出来た。しかし、そのまま買ってきたビールをそこで飲むのは気が引けたし、落ち着かなかった。
スマホの電池はずいぶんもったが、それでも残り40パーセントを切っていたので、8時までベッドそばのコンセントで充電した。8時に、買ったビールを袋に入れて外に出た。外は涼しかった。近くの公園に行き、ベンチに座ってビールを飲んだ。そのうち、蚊が寄ってきたので、駅近くのベンチに移動して、残りのビールを飲んだ。
10時過ぎに宿に戻り、すぐ就寝。