初日

 朝の8時。24時間黒スーツ男の鏡田君から電話。ビデオカメラを借りる件でメールをいれていたのだ。
 「お疲れ様です。カガミダです」
 「…んー? あー? お疲れ」
 「疲れてますねドカさん」
 「疲れてるよ。疲れてるとも」
 俺は布団に寝っ転がったまま話した。
 「…というわけです」
 「そうかあ。ありがとう鏡田君」
 「頑張ってください」
 「うん。ところで、今何時だい?」
 「8時10分くらいですよ」
 「やったー…9時まで眠れる…」

 11時まで寝た。

 王子の松屋に着いたのが12時20分くらいだった。テンション上げるために大盛りをぶちかまそうと思い、中に入ると、しのちゃん、丸ちゃん、オギノ式がいた。
 ちょっと恥ずかしかった。
 でも大盛りは頼んだ。

 昼は主に直し作業。それから客席作り。
 本番に向かって俺の頭もロボット化が進む。
 「感じる」ではなく「確認する」頭になる。

 マミちゃんと横岳のシーンを直した。素の状態では、マミちゃんは出てくる言葉が面白く、横岳は動きが面白い。
 それをうまくキャラクターに乗っける作業をした。

 本番は7時。
 始まってしまえば、当たり前のことだが、始めるしかない。だって始まっているんだもの。
 主役の丸ちゃん、さすがに本番前にぴりぴりしていた。無理もない。全編出ずっぱりのガチンコ主役キャラだもの。
 中山君は楽屋にて、自分のタバコの中身がマイルドセブンスーパーライトからキャスターマイルドに変わっていたことに動揺していた。
 健ちゃんも一人の時間を作っていた。

 というわけで初日は開きました。
 この日記も今日が最後となります。
 長い間応援ありがとうございました!

 嘘です。
 まだ続きますぜ奥さん。

 初日を終えて、皆、相当疲れています。
 年のせいか?
 ともあれ、無事初日は開きました。
 初日打ち上げへと繰り出したのですが、いやはや、荒れました。
 ビールは飛び交い、皿は宙に舞いました。
 エピソードを書くには筆力が足りないので、参加者を書きます。
 役者7人(中山君を除く)、衣装超合金ロボの森さん、王子小劇場の番長玉山さん、王子の女番長田中ちほちゃん、照明の千葉さん、音響のくぼっち。
 
 皆と別れ、西葛西に帰り、移動されていたバイクを取りに行きました。
 夜の12時半です。
 何と、鍵穴が壊されていました。しかし、オンにはなっておらず、賊は諦めてその辺に放置したものと思われます。
 その、「その辺」の住民が苦情の電話を税務署に(なぜだ?)入れた模様です。

 実家までの1キロを、バイク押し押し帰りました。
 思えばこのバイク、盗まれたり事故ったり、実に波乱万丈な運命を経験してます。
 押しているうちに切なくなってしまいましたね。
 公演が終わったら修理に出して、どこか走りに行こう。
 「どこがいい?」と心の中で誰かが聞く。
 「そうだね。ブルガリア?」
 「なぜ?」と心の叫び。
 「いや、ヨーグルト食いたいなと思って」
 「そこにコンビニあるじゃん」と心の愚痴。

 とかなんとかやってるうちに実家に着いた。
 今日は寝る。すぐ寝る。寝るしかない。