金本に魂を奪われて

 金本のサヨナラホームランを見た瞬間発した言葉は、
 「ギャー!」
 だった。

 極限の歓喜に人は耐えられないことを身をもって知った。
 下がりかけていた熱は上がり、嫌な咳がでるようになった。

 夜、ラジオで日本シリーズ第5戦を聞く。
 初回にまたしても金本がホームランを打った。
 4戦目までは強いダイエーに弱い阪神が立ち向かう展開が多かったが、5戦目は阪神の方に余裕があり、1点リードされていても焦りは感じられなかった。
 試合は檜山のタイムリーヒットで逆転した阪神が逃げ切り、3対2で勝利した。

 金本は広島カープ出身の選手だ。
 広島はここ数年いい成績を残していない。
 生え抜きの選手がFA権を行使して他球団へ行ってしまい、戦力が揃っていない。
 1996年に優勝を逃したのは痛かったと思う。
 あの頃が戦力的にはピークだった。
 広島カープが最後に優勝したのは1991年。
 優勝から最も遠ざかっているチームは阪神ではなく広島になってしまった。
 パリーグで一番優勝から遠ざかっているチームは1974年以来優勝していないロッテ。
 次が1981年以来の日本ハム。
 ロッテは落合がいた時代に2位を連続してとっているが、それぞれ阪急と西武に競り負けた。
 あとはバレンタイン監督時代の1995年に、オリックスをなかなか優勝させない形で健闘し、2位に食い込んだ。
 日本ハムはやはり1998年のビッグバン打線で優勝できなかったことが痛い。

 来年のセリーグはどうなるのだろう。
 星野監督がいなくなることで、阪神の補強面がどうなるか。
 巨人のコーチ陣は機能するか。
 中日はトレードなしの自前戦力でやっていけるか。
 各チームの事情を考えていくとどうしても、ヤクルトが優勝候補に思えてしまう。