5時に海乃家の雑魚寝部屋で目覚める。
1時間と少しの睡眠だったが、アルコールを飲まなかったためか、目覚めはそれ程悪くなかった。
山手線で王子のニッポンレンタカーに行き、一晩泊めてあったトラックを引き取り、運転して高田馬場へ。
疲労困憊して眠っていた松本さんが聞く。
「(返し作業は)どういう段取りですか?」
先に尾池さん宅に行き照明機材を返し、そのあと相模大野へ行き木材関係を返す段取りだと答える。
「7時40分に相模大野到着の予定です」
「なら私、あとで電車で行きますよ」
「わかりました」
松本さんを海乃家に残し、尾池さんと久保田君を助手席に乗せる。
阿佐ヶ谷の尾池さん宅に着いたのは6時30分を少し過ぎた頃だった。
寝ぼけ眼の久保田君と共に機材を返す。
一人より二人の方がやはり早い。
7時に返却を終了し、尾池さんと別れる。
トラックに乗り、荻窪に出て環八を南下する。
「ドカさんすいません、ぼく、寝ていてもよろしいですか?」
「いいよいいよ、寝て寝て。お疲れ様」
久保田君は四面道あたりから眠りに入った。
朝7時の環八はすでに渋滞の兆しがあった。
青梅街道から高井戸までがノロノロ運転で、30分近くかかってしまった。
時刻はすでに7時30分だった。
20号を過ぎたあたりから流れが良くなり、そこから246を西に向かい、溝の口あたりまではスイスイ行けた。
長津田あたりで再び渋滞があり、16号に入ったあたりですでに時刻は8時20分を少し過ぎていた。
松本さんから電話が入る。
「今どのあたりでしょうか?」
「倉庫の近くの16号です。後少しで着きます」
16号はそれほど混んでいなかったため、電話の数分後には倉庫に到着した。
苦手な縦列駐車を2tロングでやるという、巨大な知恵の輪に挑戦するかのような作業があり、松本さんの指示で長材や床材などを降ろす。
絶対量が少なかったので、10分と少しで終わった。
徹夜明けの松本さんは、9時から仕事関連のミーティングがあるらしく、気の毒なほど疲れていた。
「お疲れ様でした」
挨拶をして倉庫を後にする。
朝は寒かったのだが、9時を過ぎたあたりで急に気温が上がった。
「なんだか、残暑だね」
「ですね」
「10時に小金井に着けば、あとは余裕で終わるよ」
「でも、ゴミの量、かなりありますよ」
実際、なかなかの量があった。
「ドカさん、すだれなんですけど、よかったら僕引きとりますよ」
「本当?」
「何かに使うかもしれないんで」
「いいよいいよ。持ってって」
トラックはやや遅れ、10時20分に我が家に着いた。
外に出ると夏だった。
久保田君と二人で地道に廃材降ろしをする。
さすがに量はかなりなもので、すべておろすのに小一時間を費やしてしまった。
「ドカさん、もう11時20分なんですけど」
トラックの返却は11時30分だった。
「まあ仕方ないよ。あれ以上早くはどのみち無理だったし」
すだれだけを積んで、久保田君の部屋へ行く。
うちから500メートルほど離れたところにあった。
実はご近所さんだったのだ彼は。
すだれをすべて降ろすと、トラックは空になった。
「お疲れ様久保田君」
「お疲れ様でした」
久保田君には今回、装置のタタキ、積み込み、そして返しと、実にお世話になった。
もちろん他のメンバーも沢山働いてくれているのだが、彼は、共に苦労を味わっている分、戦友みたいな感じがするのだ。
思わず敬礼をして久保田君と別れる。
トラックは調布へ。
途中20号でガソリンスタンドが見つからず時間を食ったりして、調布のニッポンレンタカーに着いたのは予定より1時間遅い12時半だった。
王子で借りた時、地図も一緒に借りたのだが、それがなんと広域地図で、調布の店舗の場所がまったくわからないという代物だったのも災いした。
店に入りすぐ文句を言う。
「俺も人工衛星じゃないんで、この地図じゃ(調布店の場所が)わかりませんよ」
文句を言った甲斐あって、延長料金はサービスしてくれた。
炎天下を調布駅まで歩く。
北口のラーメン屋「江川亭」で中華そばを食べ、バスに乗って小金井に帰る。
うちに着いたのは1時半。
シャワーを浴び、脱力して寝る。
5時半に起きる。
買い物に行き、ビールとウォッカと豚のもも肉と豆の缶詰を買う。
豚肉はたれに漬け込み、フライパンで一気に焼いた。
ビールを空け、飲みながら焼き肉を食べた。
野菜がなかったが、用意するのが面倒だった。
パソコンの電源をつけると、動作が異常に重くなっていた。
もしやと思い、マイコンピューターのプロパティを見ると、1.4GHzのはずの動作速度が、半分の700MHzになっていた。
CPUクーラーにほこりがたまり、冷却効率が落ちているのだろう。
すぐにケースを開け、掃除をした。
ところが、再び電源を入れると、ウィンドウズのロゴが出たところで固まってしまう。
まるで去年さんざん苦しめられたフリーズ頻発現象みたいだった。
ウィンドウズのインストールCDを用意し、修復を行っても駄目だった。
また再インストールしないといけないのだろうか。
憂鬱だ。