蹴りたい背中

 昨夜、綿矢りさ「蹴りたい背中」を読み終えた。
 冒頭部分が読みにくかったのだけど、主人公の<ハツ>が<にな川>の家に行くあたりで俄然面白くなり、そのまま最後まで読んでしまった。
 やはり、ハツがにな川の背中を蹴りたい衝動に駆られるシーンが一番面白く、そして一番エロスを感じる。
 このエロスは、わかるようでわからない。
 クラスでハブにされているにな川だが、ハツも似たようなものだ。
 にな川はモデルの<オリちゃん>のファンで、ファッション雑誌を買い、オリちゃんの声を聞くために片耳だけヘッドフォンを当ててラジオを聞いている。
 ハツはそんなにな川の背中を、蹴りたいと思う。
 ダメ夫君だからというわけでもないし、ムカついているからだけでもない。
 読んでいてよくわからないのは、ハツにもわかっておらず、作者にもわかっていないからだろう。
 それでもその衝動は妙にリアルに思えた。

 夕方実家に帰る。
 豚肉をすき焼き風に煮たものを食べる。
 <すき焼きのたれ>というものを使って味付けしたのだが、癪なことに結構おいしかった。
 値段も安い。

 父は先週と同じく「宇宙戦艦ヤマト」のビデオを観ていた。
 テレビ番のパート2だった。
 映画「さらば宇宙戦艦ヤマト」の頃にやっていたと思うが、「さらば」で死んだ面々が元気いっぱい「生きまくって」いるのはいかがなものか。
 先週、マグの精算会飲みで漫画の話をした時に、「ハイスクール鬼面組」の話になった。
 「作者が4月になる度にタイムスリップするネタを使って、主人公が年をとらない説明をしていたけど、あれいらないよね」
 「『うる星やつら』なんか、説明なしに延々と高校2年生だもんね」
 しかし、ヤマトの場合は別だ。
 みんな死んでるんだから。
 ラストシーンは古代と雪が白色彗星に特攻しているのだから。
 それを、なし崩しに「生き残りまくり」は、どうなんだろう。

 島田紳介「知識ゼロからの金儲け」読む。
 非常にわかりやすい経済の本だと思う。
 紳介自身が痛い目に遭いつつ勉強してきたことが、内容に説得力を持たせている。
 そして紳介の<プレゼン能力>の高さがそこかしこに感じられる。
 この本をよめば誰しも、お金というものにちゃんとした興味を持つのではないだろうか。