精算会で漫画の話

 10時に起きる。
 夏が戻ってきたかのような強い日差しが、窓の外、物干し竿のあたりを照らしていた。
 小金井公園のフリマまで歩いていくつもりだったが、強い日差しで億劫になる。
 代わりに図書館へ。
 島田紳助「知識ゼロからの金儲け」借りる。
 暮らしに役立つ資産運用の本。

 パンとキュウリ、ハムとツナ缶を買い、サンドイッチを作った。
 最近サンドイッチを作る時はマーガリンの代わりにマスタードを塗っている。
 サンドイッチやおにぎりは、作り慣れしていないとうまくいかない。
 おにぎりの場合、大きさがまちまちになったりするし、サンドイッチの場合、はさむ具の量を間違えたりする。
 どちらかといえばおにぎりの方が慣れている。
 サンドイッチを作るのは久しぶりだった。
 そして案の定、卵が余った。

 夕方、新宿へ。
 みずほ銀行裏手の<三平>に寄り、その後マグネシウムリボンの精算会をするために紀伊国屋書店裏のロッテリアへ。
 精算を記した封筒と、余った線香花火をもらう。

 夜9時半から、西武新宿近くの<世界のやまちゃん>で飲む。
 名古屋を本拠地としている居酒屋で、手羽先が売りらしい。
 <幻の手羽先>というメニューがあったので頼む。
 コショウがたっぷりかかった、かなり辛めの味付けだった。
 他にも、モツ煮込みが赤だしを使っていたり、名古屋名物味噌カツがあったりした。
 エビフライもあった。

 精算会後の飲みとはいえ、人が多い方がいいかと思い、昨日と今日のうちに知り合いに「飲みましょう」とメールをしたら、宇原くん、山口忍くん、岡田遊ちゃん、阪上君が来た。
 遊ちゃんと久しぶりに話す。
 ヨドバシカメラのでかいティッシュを持っていた。
 「配ってたんです」
 とのこと。
 道で配るにしては大きすぎるサイズだった。

 山口君、宇原君、三代川とプロレス話をしようとしたら、宇原君が、
 「僕は、ジャンボ鶴田が最強だと思ってます」
 と言うので、思わず握手してしまった。

 綾香は今日、就職関係の試験があったという。
 そして、
 「10月から保育園でバイトなんです」
 と言っていた。
 保母さんみたいなことをするそうだ。

 遅れて久保田君登場。
 稽古帰りのため、疲れた様子だった。
 その後、精算の紙を受け取るだけのためにわざわざ智美さんが来た。
 「すいません、人を待たせていて」
 そう言ってあわただしく去っていった。

 秋吉君から乞局の企画書を見せてもらう。
 真っ先に制作担当者をチェックする。
 「どうしてそこから見るんですか?」
 と言われる。
 習性だ。

 12時までその店で飲み、飲み足りない人々と、かなり遅くなってやってきた土田さんと共に<養老の滝>へ移動。
 残ったのは、松本、三代川、鶴マミ、山口君、阪上君、土田さん、そして俺。

 阪上君は綾香をバイクで送ってから新宿まで戻ってきた。
 「道、空いてましたよ」

 なぜか三代川と漫画の話を色々する。
 「『タッチ』で、和也じゃなくて達也が死んだらどうなってたかね?もう、すんなりと甲子園行って。順調に南ちゃんとつき合って」
 「意味ないですよ」
 と三代川。
 「達也のお墓はたまに原田くんが訪れるくらいで」
 「寂しい」
 「しかもタイトルは『カッチ』」
 「くだらねえ」
 「あと、南ちゃんが死んだらどうなってたかね?」
 「どうなるんでしょう?」
 「和也のモチベーションが下がるだろうね。だから達也も野球部に入って、兄弟で甲子園に行くんだよ」
 「…」
 「あと、パンチが死んだら?」
 「犬じゃないですか!」
 すると横で聞いていた土田さんが言った。
 「でもパンチが死んだら、南ちゃんはやっぱり鉄橋の下で泣くよ」
 「なるほど。じゃあ、南ちゃんの親父さんが死んだら?」
 「それは大変だ」
 「大変だよ。喫茶店『南風』は閉店。南ちゃんも高校出たら働かないと」
 「現実的だ」
 「しかもさ、誰が死ぬ場合でも必ず、車にひかれそうになっていた少年を助けようとして自分がはねられるの」
 「パンチもですか?」
 「もちろん」

 三代川は新田君が好きだったという。
 「だって、南ちゃんのことが好きだというのは明らかじゃないですか。でも、それを言わないところがいいんですよ」
 「でも、さりげなくそれっぽいことを匂わせてたぞ」
 「そうでしたっけ?」
 「俺は原田君派だったなあ。ああいうポジションは一番おいしいと思うよ。柏葉監督の秘密も原田が先に知ったんだし」

 健ちゃんと山口君、鶴マミ、阪上君らは、死に方の話をしていた。
 どういう死に方がいいか悪いか。
 腹上死がいいと誰かが言った。
 しかし、どの段階で死ぬかによっては、めちゃくちゃ恥ずかしいはずだ。
 中にはセックスのプロセスに、ものすごく<濃い自分>が出る人もいるわけだし。
 その時にたまたま死んだら、遺族がいたたまれないだろう。
 「すべてが終わって、腕枕でたばこ吸ってる時に死ぬのが一番いいんじゃないの?」
 と言ってみる。
 「それは男の意見だよ」
 とマミちゃんと土田さん。
 「裸で死ぬのは絶対に嫌」
 だそうだ。

 4時半までだらだらとそういう話をする。
 始発の時間に店を出る。
 さすがに疲れた。
 武蔵小金井で寝過ごしそうになったが、無事5時半帰宅。
 速攻で寝る。