梶芽衣子にバチッ!

 『仁義なき戦い2 広島死闘編』には梶芽衣子が出ている。
 『女囚さそり』や『修羅雪姫』の人だが、久しぶりに見てその美しさと色気に参ってしまった。
 酔っぱらって介抱され、自分のおでこを指さしながら、
 「ちょっと寝たら帰るけん、行く前にここにキスして」
 などと言われたらどうしますか。
 相手役の北大路欣也は当然3カウントを奪いにいくわけだが、はじめは2カウントで返そうと抵抗しつつも、芽衣子はフォールされてしまうのだった。

 しかし昔は梶芽衣子にそれほど魅力を感じなかった。
 たぶん年をとったということだろう。
 かといってスクリーンの彼女が熟女っぽいというわけではない。
 十分きれいで若いのだけど、若い者には越えられない壁が彼女の周りにはあるのだ。

 ハロルド作石の『ゴリラーマン』では、梶間ナミというキャラクターが登場する。
 明らかに梶芽衣子のそっくりさんで、その名前は映画『女囚さそり』の<松島ナミ>と、梶芽衣子の名前を合成したものだろう。
 梶間ナミは転校生で、他のみんながその暗さを気味悪がるのに反して、藤本だけが一目惚れし、
 「俺好みの女だ…」
 とつぶやいた。
 16年前にその場面を読んだ時は、藤本特有のゲテ物趣味かと思って笑ったが、今ならその気持ちがすごくよくわかる。

 夕方、池袋へ。
 鏡田親分、中山君、浅香と飲む。
 珍しい取り合わせだ。
 パチンコにたとえるなら、きわめて出ることの少ない出目。
 しかも当たりじゃないという微妙さ。
 何十年単位ではなく、月単位で語る将来の話を、串揚げをつまみつつ語らった。
 親分と浅香は、小劇場のゲネを撮影する時にどんなレンズを使うかというような、やや突っ込んだ話をしていた。

 12時半帰宅。
 妙に腹が減っていた。
 よく考えてみたら、飲んでいるときにそれほどつまみを食べなかった。
 うどんをひと束茹で、鰹節と醤油をかけて食べた。