そして事切れる夏

 じんましんおさまらず。
 じんましんじゃなくて吹き出物か。
 というよりニキビか。
 「あせもじゃないか?」
 と指摘されるが、それにしては長引きすぎだ。
 冬になり空気が乾燥してくればなおるのか?

 吹き出物そのものは気にしていないが、そういうのが出てくるという内臓状態がきになっている。
 野菜不足かな。
 このまま次の公演稽古に入ったら、オレの体はどうなるんだろう。
 不安が不安を呼んでいる。

 松尾スズキと三谷幸喜のエッセイを読んでいたら、二人とも厄年に絡んだタイトルをつけていた。
 そういうのはやはり気になるんだろうか。
 どんな年にも悪いことは起こるものだと思うが。

 夜、甲子園決勝のドキュメンタリーをテレビで見る。
 このまえ実家に帰った時、父親が、
 「結局メディアが勝手にヒーロー作ってるんじゃないか」
 と怒っていた。
 そんな父親が一番好きな女性タレントは米倉涼子であり、しかも好きになったきっかけが3年前のジョージアのCMだったりする。
 「あれはいいね。彼女はユーモアがある」
 それを聞いてがっかりする息子のオレだったが、それも余生と腹をくくり、コメントはせずにただうなずいていた。

 夜7時という妙な時間に布団も敷かずに寝て、起きたり寝たり、汗をかいたりシャワーを浴びたりを繰り返す。
 死に往く夏の断末魔が体に乗り移ったかのようだ。
 夏の終わりのセミの鳴き声は悲鳴と知れ。
 ジワワワワ…という鳴き声を翻訳すれば、
 「ぎゃあああああ!」
 「ひいいいいいっ!」
 「うげえええっ!」
 「たすけてえええ!」
 「死ぬううううっ!」
 なのだ。