秋色

 ジェームズ・ケイン『郵便配達は二度ベルを鳴らす』読む。
 ここから出たいと強く思っている女が出てくるので読んでみたのだけど、もっとどうしようもない倦怠感と孤独をにおわせる描写なりエピソードなりが欲しかった。

 朝は少し日が出ていたのだけど、昼の空はずっと曇っていたようだ。
 風も涼しいというよりは冷たく、半袖を着ていることを後悔した。
 来週はもう10月だ。
 あっという間に寒くなり、そして今年は終わる。

 部屋の外壁を伝う蔦の葉は、夏の間絶え間なく成長を続ける。
 窓の隙間から部屋に侵入してくるほど絶え間ない。
 まるで触手のようだ。
 その葉が、最近少しずつ黄色みを帯びてきている。
 10月から11月にかけ、大量の枯れ葉となって杉並区の某所を舞うのだ。

 西日も根性がなくなった。
 「オレはそんなの、西日と認めねえ」
 野球のユニフォームを着て、そう言い捨てたいほどに。
 できればその台詞は、駒大苫小牧の田中君に言って欲しい。
 楽天にドラフト1位指名が決まった田中君に。
 楽天のユニフォーム姿ではなく。

 でも田中君は慎重に言葉を選び、
 「歴史に名を刻む選手になりたい」
 とコメントしたという。
 頑張って欲しい。
 野村さんは、しごいても良いけど、いじめないで欲しい。

 涼しくなるということは、野球の季節が終わるということか。
 寂しい。

 夕方実家へ。
 酸辣湯麺を作って食べる。