ビートルズ伝記本を味わう

『シャウト!ザ・ビートルズ』読了。
ボリュームがある本だったが、読み始めると止まらなくなった。

ファンの間では、
「ポールに手厳しすぎる」
「ジョン派の本」
という評価があったらしい。
確かに、解散後の章を読むとそのことを強く感じる。
ジョンのことを良く書いているというよりも、ポールのことを悪く書きすぎている。

ついでに言うなら、リンゴは気の優しい人物として、ジョージは神経質な男として書かれている。
ジョンとリンゴに優しく、ポールとジョージに冷たい本だ。

しかし、デビュー前からブライアン・エプスタインが死ぬあたりまでは、おおむね客観的だ。
あるいは、そうあろうと努力している。

アラン・クラインは当然のことながら悪役として書かれている。
しかしビートルズを物語として理解するならば、彼は実に魅力的なキャラクターだ。
この人を主人公にして映画を作ったら、とても面白いんじゃないかと思う。
実際にいたら厄介極まりないだろうが。
いや、実際にいたから厄介だったのか。

ビートルズの伝記を書くにあたって厄介なのは、アルバムや曲の評価をしなければならないことだ。
たとえばどの伝記にも共通するのは『ザ・ビートルズ(ホワイトアルバム)』に対する評価だ。
佳曲揃いだが、メンバーのソロ作品が集まってできたアルバムであり、グループ分裂の兆しが感じられるなど。

しかし解散後37年が経った現在、アルバムだけを聞き比べると、やはり『ザ・ビートルズ』は素晴らしいアルバムだ。
ソロの寄せ集め?
知ったことじゃない。
良いものはいい。
そんな風に思う。

ビートルズ作品の評価は、時代によって変化している。
『サージェント・ペパー』が不動の1位というわけではない。
『リボルバー』や『ザ・ビートルズ』が1位を争うこともある。
最も売れたとされる『アビー・ロード』は、ここ数年評価が落ちているように思う。
初期の『ア・ハード・デイズ・ナイト』を根強く推す人も多い。

この映像を見ると、泣けてくる。

ビートルズとは関係ないが、これも泣けてくる。