コンデンサ妊娠

 『FOR BIGINNERS ハイデガー』読了。
 結局わからずに終わった。

 というよりも、わかろうと思って読むこと自体、ハイデガーの方法論と反発しあうようだ。
 ハイデガーは道を指し示すだけで、答えは出さない。
 合わせ鏡は用意するが、その無限大的展開の行き着く先に何があるのかは教えてくれない。

 しつこくハイデガー関連本を読む。
 古東哲明『ハイデガー存在神秘の哲学』
 これはいきなりおもしろい。
 文体が取っつきやすい。
 存在とはなにかという問いが先行し、そのためにハイデガーの哲学があるというような書かれ方がされている。
 難解さのご本尊に対して我々が安心できる距離感があり、ほっとすることができる。
 もちろん、つかず離れずといった感じで、読み進むうちにぐぐっと近づかねばならないことはわかっているのだが。

 夕方、千早で稽古。
 今回の稽古場中、交通は一番不便である。
 行きは簡単。
 しかし帰りは手強い。
 有楽町線で池袋まで行き、そこからJRで変える方法。
 もう一つは有楽町線で飯田橋まで行き、そこから東西線に乗り換える方法。
 運賃は後者が安いが、時間は後者が少しかかる。
 だが、どっちもどっちだ。
 じゃあ安い方がいい。
 というわけで1時間かけて帰宅することになる。

 前半3分の1をおおざっぱに稽古した。
 おおざっぱというのは、つまりシーンを2つまたぐように稽古し、転換について考えた。
 やむを得ず暗転をせねばならない転換や、した方がいい転換、するべきでない転換と色々ある。
 それから役者の移動のこともある。
 やってみたら絶対無理でした、なんていう移動距離だったり。

 なので、細部はぐらぐらだが、とにかくシーンをつなげて稽古するのが今週というわけ。
 当然、稽古するシーンは長くなり、繰り返し回数も減る。
 欲求不満は募る。

 それでもなんとか6シーンの稽古をした。
 さすがに詰め込みすぎた。

 帰り道、内山さんと色々話す。
 前にいた劇団の話、声の仕事の話、不正咬合の話など聞く。
 実は共通の知人が結構いるということも判明した。
 芝居をやっていると世間が狭い。

 10時半帰宅。
 SP2未適用のCDでウィンドウズの再インストールを試みる。
 やはりインストール途中で固まってしまう。

 マザーボードをケースから取り外し、コンデンサーをチェックしてみた。
 すると、12個ほどのコンデンサーの頭が、膨らみかけていた。
 コンデンサーには寿命がある。
 5000時間ほどだというが、性能や使用条件によっては短くなるらしい。
 コンデンサーが膨れると、中の液が蒸発し、性能が著しく落ちる。
 コンデンサーの性能が落ちると、電圧が不安定になる、
 当然それはCPUの動作に影響し、突然固まったり、不正な動作をしたり、あるいは全く動かなかったりするらしい。

 ともあれ、コンデンサーの妊娠を目撃した時点で、原因はマザーボードにあることがほぼ確定した。
 あとは、交換用のコンデンサーを買ってきて、半田ごてで修理するだけである。

 もし交換しても直らなかったら?
 知らん。
 だが、もう失うものはなにもないじゃないか。