勝てない日馬富士

水村美苗『本格小説』上巻読了。
水村さんにこの小説の元になる話を青年が伝えるところまでが、長い前書き。
元になる話の主人公こそ、この小説の主人公である。
『嵐が丘』でいえば、ヒースクリフである。

読めば読むほど『嵐が丘』にそっくりだなあと思えてくる。
それなのに、内容を剽窃したとか、舞台を日本にして翻案したという印象は受けない。
むしろ、戦後の日本を舞台にしても『嵐が丘』のような作品が書けるのだなあという驚きがある。

日馬富士がなかなか勝てない。
初日、二日目は運が悪かったなあと思ったが、昨日は明らかに相撲が悪かったし、今日は
さらに悪かった。
こうなってくるととても優勝争いは望めない。
勝ち越しすら危ぶまれる。
朝青龍が電話をして檄を飛ばしたらしい。

もしかすると、対戦相手が自分より下になってきたことが原因かもしれない。
もちろん関脇時代も格下と戦うことは多かったのだが、大関として相手にするということはやはりどこか違うのではないか。
大関や横綱とあたる後半戦の方が、ひょっとすると日馬富士らしい相撲が見られるようになるのかもしれない。

朝青龍は相撲感を取り戻そうとするかのように、日々慎重な相撲をしている。
今日は雅山相手に危なかったが、よく土俵に残った。
際どい勝ちだが、こういう勝ちを拾っていくとそれは勝負運の上昇につながると思う。

白鵬は強い。
まったく隙がない。
そして琴欧洲が強い。
白鵬に土をつけるのは、彼じゃないかと密かに思っている。

夜、小林カツ代さんレシピのワンタンを茹でて食べる。
皮で包まない手抜きレシピだが、えらくうまかった。