オーディションとか

お盆の割に混んでいる電車に乗って仕事へ。
女性専用車両があるので、ひとつ前の車両に乗らねばならない。
男性専用車両があったとして、一番乗りたがらないのは、男性だろう。

そういえば高校の時、遠足で鎌倉に行った。
班別の自由行動になった。
別のクラスにいたM君の班は江ノ電で腰越に行こうとした。
車両はがら空き。ところが途中、鎌倉女学院の女の子達が乗ってきて、あっという間に車内が女子で埋め尽くされた。
M君や班の友達は、驚愕のあまり、表情筋すらまったく動かせなかったという。

似た経験を自分もしている。
二十代の時にある舞台のオーディションを受けた。
およそ百人が受けたオーディションだったが、会場に行くとなぜか自分以外の全員が女性だった。
(ひょっとして、受ける役を間違えたのか?)
パニックを起こし、しどろもどろになってしまった。
ひょっとすると、試されていたのか? まさかなあ。

その頃は色々オーディションを受けたが、ろくな思い出がない。
バイト三昧で体重が減り、フラフラの状態で受けに行き、簡単な運動の後、トイレで吐いたこともある。

審査員の人に言われる定番の言葉は、
「教員免許持ってるのに、なんで教師にならないの?」
だった。
そもそも、教師になることを目的として学校を選ばなかったのだが、そのあたりの経緯をわかりやすく話すことができなかったので、大抵は愚図な印象をあたえて終わった。

オーディションを受けることに、それほど熱心じゃなかったのが一番良くなかった。
ただ、受けないと芝居ができなかったので、定期的に受け続けていた。
劇団をやっている友人も少なかった。
芝居に出ないでいると、芝居への情熱が徐々に冷めてくる。
時々知り合いや後輩の芝居を見て刺激を受けるが、じゃあ自分で何をするのかを考えると、未来がふさがってるように感じた。
バイトは週五。
交通費を含めればまずまずの金がもらえたし、まかないがあったので食費は節約できた。
夜勤だから仕事明けに金を使うアテもない。せいぜいゲームか、好きなプロレスの雑誌。
芝居よりプロレスを見る時間の方が長かった。

居心地の良かったバイト先で人間関係のストレスも感じ、そろそろ何かしないといけないなあと思ったのは、夏でも秋でもなく冬だった。
あれが夏だったらどうなっていたろう?

夏は、考えが広がり、冬は、一点に集中する。
なんてこともあるだろうか。

今は夏なので、考えが広がるのは仕方ないけど、広がりすぎると迷子になる。
待つ時は待つしかない。

朝はコロッケサンド。おにぎり礼賛翌日の浮気。
昼は「西胡春」で唐揚げ定食。食べても不思議と汗をかかなかったのは、走ったためかもしれない。

夕方、仕事明けに下北沢へ。
ファーストキッチンでチリビーンズのハンバーガーを食べる。
8時からスズナリにて親族代表公演観劇。
序盤はそっと始まり、三本目の引越センターのネタで、徐々にエンジンがかかり、あとは楽しく笑える空気が最後まで続いた。
スナックのネタ、誘拐のネタが面白かった。
ゲストの峯村リエさんの、後半の演じ分けが見事すぎて、魅せられてしまった。
メンバー三人の息も合っていた。

終演後、太一に挨拶メール。
スズナリの外はなぜか蚊が沢山いるようだ。
腿と頬をさされた。

11時帰宅。

中山七里『さよならドビュッシー』読了。
ラストの種明かしが二つあり、心地よいどんでん返し感を味わった。