朝飯を食わず、昼前に家を出る。
1時半に両国着。
「クインベル」に行き、昼食。
鴨のオレンジソースと、ヤリイカを頼んだ。
この前来た時にはいなかった若い女の子が注文を取ってくれた。
テーブルの配置が若干変わっていた。
掃除用のロッカーが横にあった。
本格的なフレンチとイタリアンを出す店なのに、そういうところには無頓着だ。
隣のテーブルに、自営業を営んでいるらしい夫婦と、従業員らしい若い男が座っていた。
オヤジさんのしゃべり方はドスが利いていた。
下町生まれの下町育ちなのだろう。
「マスター!」
おばちゃんが声をかける。
「おみやげの牛カツサンド、もう一つお願い」
マスターは寡黙にうなずく。
「ごめんね。最初から数えて頼めばよかったわね」
オヤジがつけ加える。
「数が減っていくよりいいよね」
マスターはニヤリと笑った。
下町夫婦のコミュニケーション連携術は楽しい。
鴨も美味しかったが、ヤリイカが絶品だった。
皿まで舐めたいと思った。
店を出て、100円ショップで酒を買い、3時近くに国技館へ。
正面の最上段。
右隣に外国人の相撲ファンが二人座っていた。
応援していた琴欧洲が5連敗。
日馬富士も序盤で優勝戦線から脱落。
こうなると楽しみは、朝青龍の全勝優勝なるか否かだ。
幕内の取り組みをぼんやりと眺める。
千秋楽なので、テンポ良く取り組みが進んだ。
色々あったがとにかく結びの一番。
一戦に集中力のすべてをかける。
二周分の懸賞と大声援。
相変わらず朝青龍の会場人気は高い。
白鵬は強かった。
弾き飛ばし、立て直す隙を与えず、投げ飛ばした。
館内の大声援は、
(これで優勝決定戦が見られるぞ)
という期待からくるものだったと思う。
初場所と同じ展開だ。
隣に座っていた外国人二人組は、本割ですべてが終わったと思ったのか、席を立ってしまった。
初場所では、控え室の両横綱が対照的だった。
朝青龍はひたすら動きを確認し、白鵬は微動だにせず。
動と静の好対照だった。
優勝決定戦。
今度は朝青龍も立ち会いに失敗せず。
早めに仕掛けて行く。
頭をつけたり、引き寄せたり、常に白鵬よりワンテンポ早かった。
攻防を制したのは朝青龍だった。
左腕で白鵬をすくい投げる。
(行け、行け、行け、行ったー!)
大歓喜。
立っていられず、飛び上がって絶叫した。朝青龍!
鳩山さんところの息子さんが内閣総理大臣賞のトロフィーを渡しにきていた。
東国原知事も宮崎県知事賞を渡しにきていた。
枡席の後ろへ移動し、それらをぼんやりとした頭で眺めた。
すべてが終わってから、外で朝青龍の出待ち。
オープンカーに乗った横綱に、
「おめでとう」
と声をかけ、車を見送る。
さて帰るかと両国駅に向かうが、ちょうど帰るところの把瑠都に遭遇した。
間近で見ると、さすがに大きい。
どこかのおっさんが、
「バルトー!」
と叫びながらおぶさっていた。
把瑠都は苦笑いしていた。
タクシーで帰るらしい。乗れるのか?
8時過ぎ帰宅。
少し休んでからジョギング。
青梅街道を新中野まで。11K。
帰宅しシャワーを浴びてから、録画したサンデースポーツを見る。
24回目の優勝ということで、北ノ湖に並んだらしい。
ビデオで見ると、本割での白鵬の強さは半端じゃなかった。
子育て中の母ヒグマのようだ。
危険きわまりない。
おそらくナチュラルパワーでは、朝青龍は白鵬にもう勝てないだろう。
それでも、優勝決定戦では勝ってしまう朝青龍は、技術的に老獪だったと思う。
ビデオで見ると、その攻防は実にスリリングでおもしろかった。
勝った後に思わず右手拳を握りしめていたが、
(してやったり!)
の感があったのだろう。
痛快だ。
「サラリーマンNEO」を久々に見る。
芝居をやっている会社員のコントに大笑いする。