サイト11周年と、芝居のハシゴ

10時起き。
買い物に行き、適当に食材を買う。
デリカのコーナーでアメリカンドッグを買う。
買って、家に帰って、電子レンジで温め、
(何年ぶりに食べるんだろう?)
と思った。
たぶん今世紀初めてだ。

マグネシウムリボンのサイトは2000年の9月に開設したので、いちおう前世紀末ということになる。
8月中に構成を色々考え、おっかなびっくりサーバーにアップしたのが9月3日頃と記憶している。
それ以前の日記は、サイト開設以前のものなのだ。

その頃のホームページは今の色合いではなく、黒い背景に宇宙が広がり、青白い「マグネシウムリボン」という文字が浮かぶものだった。
まだブログというシステムは生まれておらず、htmlに直接文章を書き、サーバーにアップすることでその都度日記を更新するという仕組みだった。

正直な話、その頃の日記をいまだにアップしていることに、精神的苦痛を感じることがある。
文章のうまいへたではなく、自分の出し方の垢抜けなさに対する恥ずかしさみたいなものがあるのだ。
中学くらいで親戚の集まりで大はしゃぎし、その姿をビデオに撮られ、高校になってから見させられるような気分だ。

一番恥ずかしいのは、日記のそこかしこに、ウケようとしている自分が見えることだ。
そして、書いた11年後の自分に対して、すべっていることだ。

<小劇場の無名のその辺のチンピラみたいな男の書く稽古場日記という体裁の日記>というジャンルにおいて、この日記は相当長く続いている部類に入ると思う。
なにしろ11年だからな。
この点だけは自慢できる。

だがその長さは、時に仇となるのだ。
今の感覚ではあり得ないようなことを、過去において堂々と、日記文体で世界発信している現実があるのだ。

自分がそのように「恥ずかしい」と思う過去日記を、一体誰が読んでいるのか?
日頃、にこやかに挨拶する仲にある、あの人この人も読んでいるのか?
読んでいる人がわからない苦しみ、というのがあるのだ。

アクセス解析をすれば、おおまかな人数はわかる。
問題は、誰が読んでいるのか? ということなのだ。

沢山の人に読まれているものでないことはわかる。
おそらく、一日平均100人ちょっとの常連さんが見ていて、それに検索でやってきた方々が加わるくらいだろう。
ここ数年、ずっとそんなペースだ。

今日で、なんとなく、マグネシウムリボンのサイト開設から11年経過。
その頃中学生だった役者が、次の10月公演に出演する。
時間の不思議。
時よ止まれ。俺をのぞいて。

だらだらと、マグのサイトについて考えながら、午後、大塚の萬劇場へ。
本当は考えていなかったが、考えながらと書くのは、日記文体の大人事情。

劇場に行く前に昼飯を食おうと思い、劇場前の道を通り過ぎ、天平食堂へ。
カツ丼を頼む。
途中、近所の母娘連れが店にやってきて、奥の座敷席へ。
通い慣れているようで、店のおばちゃんと親しげに会話をしていた。
ちょっとした外食に利用しているのかもしれない。

カツ丼の味は普通だったが、卵のとじ方がとてもきれいだった。

劇場に戻り、熊猫楼公演を見る。
隣の席に、知恵ちゃんとタカが座った。

舞台設定は、大正時代の吉原。
遊郭の女達の物語だった。
去年の2月に亜企ちゃんが書いた芝居も、遊郭を舞台にしたものだった。
そして、そのどちらにも仲澤さんが出演しているのが面白い。
今回は医者の役を淡々と演じていた。

内容は、重めの話だった。
東日本大震災のことを念頭において作ったのだろうか。

終演後、仲澤さんに挨拶。
柳瀬君も見に来ていた。

柳瀬君、タカ、知恵ちゃんと、山手線で途中まで帰る。

5時前に帰宅。
シャワーを浴びてから、夕方、ロック食堂へ。
亜紀ちゃんの一人芝居を見る。

パーティーという体裁で、コンテンツの掉尾を飾るのが一人芝居という趣向だった。
ゲキダン◎エンゲキブの皆さんが受け付けその他を手伝っていた。
店に入ると知らない顔が鈴なり。
奥の隅っこで旧知の森さんが荷物に囲まれてビールを飲んでいたので、隣に座る。

しばらくは、お酒とロック食堂のつまみを堪能し、森さんと話す。
森さん、6月に事故に遭い、現在は療養中とのこと。

弾き語りや、おもちゃドラムの演奏などあって、最後に亜企ちゃんの一人芝居が始まった。
奥では見づらいので、通路に立って見る。

思っていたより、台詞が台詞としてある内容だった。
つまり、フリートーク風ではないということ。
台詞の量にはそこそこのボリュームがあった。
きちんと稽古をして覚えたのだろう。

二股をかけている女性の一人語りで、相手は金持ちと貧乏。
その貧乏の男が、どうにかなって…というストーリー。
プレッシャーはすごかったと思う。
やれたということがまず良かったと、酔いの回り始めた頭で思った。
どんな評価より、それに尽きるということが、初めての一人芝居にはあると思うのだ。

終演後、店も撤収となる。
二次会に誘われたが、芝居を立て続けに見て、おのれの状態に焦りを覚え、遠慮することにする。

森さんと西荻の駅まで一緒に帰り、一目散に帰宅。
明日は鶴マミの芝居を八王子に見に行く予定。
見るだけでは済まんだろう。
ファミレスに入って台本を書かねば。
気合いを入れる。