金魚の死

昼、ペヤングの特大、ハンバーガー、ポテトサラダロール食べる。
お湯を入れている時に同僚に見つかり、
「すごいの食べますね」
と言われた。
「今日は夜、そんなに食えないんで」
と返事をする。

夕方、6時過ぎ帰宅。

着替える時に、視界に入る水槽の様子に違和感を覚えた。
金魚が死んでいた。
いつものように逆さまに浮いてじっとしているのではなく、水面に横倒しになり、微動だにしなかった。
2年半うちにいた。
ルビーという名前だった。

すぐに出かける用事があった。
ルビーのことを頭の端に追いやり、西荻窪駅へ。
芹川、優都子ちゃんと待ち合わせ。
今週で閉店することになったロック食堂へ行く。

途中から、潮田君、綾香、知恵が加わる。
「いい店だったのに残念ですね」
という気持ちだけが、集まりの拠り所になっていた。

芹川と優都子ちゃんは、朗読の先生のところに通っている。
共通の知り合いがいて、一緒に飲むことがあるらしい。
その子に、マグの主宰はとういう人かを伝える時、優都子ちゃんはポジティブな言葉を並べたそうだ。
それを聞いた芹川は、
「勘違いしちゃいけない。塚本さんは不気味で頭のおかしい変態なんだ」
と、ネガティブを通り越した罵倒語を並べたそうだ。

「でも、先に優都子ちゃんが、塚本さんのことを偉い人みたいに言っちゃったから、その子にはうまく伝わらなかったみたいなんです」
「伝えなくていいよ」
「それが残念で」
「残念じゃないよ。偉い、素敵、大人、それでいいじゃないか」
「よくありませんよ。全然そんなんじゃないじゃないですか」
「そんなんじゃないけど、会ったことない女の子に俺のことを変態だの不気味だのって紹介することはないだろう。その子と会うことがあったら、どうすりゃいいんだ。それに、俺は初対面の人にはとても丁寧だぞ?」
「ウソですよ」
「そりゃ、芹川との初対面は、俺が役者で客演する時だったからだよ。主宰として初対面の役者さんと会う時は、俺はいつも丁寧だもん。ねえ優都子ちゃん?」
「はい」
芹川が疑わしそうに聞く。
「ホントに?」
「ホントですよ。アフタヌーンティーでお茶しましたよね?」
「アフタヌーンディー…そんなところに入って欲しくない」
「しようがないじゃないか、入っちゃったんだから。俺、すごく大人な感じで話したよね。(キザに)貴女が高橋優都子さんですか?」
「ハイ!」
「初めまして。私がマグネシウムリボンの主宰をしている、塚本という者です」
「こちらこそ初めまして!よろしくお願いいたします!」
芹川がぼやく。
「嘘だよ」
「いや、ホントだって」
「ホントですよ芹さん」

こんな感じで11時過ぎまで色々話す。

会計を済ませ、店を出る。
暑いせいか、道ばたで猫が伸びていた。
綾香と知恵が近づいたが、まったく相手にされなかった。

12時前帰宅。

飲みながら話している時には忘れていた、金魚の死と向き合う。
申し訳ない気持ちになる。