味わい帰りに話し合い

朝の9時から3時間と少しだけ寝た。
12時半に起き、着替え、観劇に行く。

旅館を舞台とした作品。
作品を書くにあたり、まずこうした「場所」から決めると、大抵似たような作品になってしまうと思う。
女将がいて番頭がいて、従業員がいて客がいて、3話か4話構成で、最後にちょとほろっとさせるような。
今回もそういう作品だと、ラストシーンが来るまでは思っていた。

ラストシーン。
地震が起き、旅館が津波にのみこまれる。
偶然旅館を離れていた兄弟が戻ってくると、あたりはなにもない。

このラストはいけない。

広島に原爆が落とされる前日の、何の変哲もない市民の生活を描写した物語。
ささやかな幸せが、一発の原子爆弾で消え去るラスト。
そういう作品を観たことはある。

同じようなことを、震災でやってはいけない。
作り手に、見る人の感情を揺さぶる目的があったのか。
それとも犠牲者への弔いの意図があったのか。
いずれにせよ、ラストシーンより前のシーンが、まさかラストで震災がくるとは思わせないことで、芝居全体を混乱させている。
その混乱から、犠牲者への哀悼の気持ちがわき起こるとは思えない。
わき起こるのだとすれば、この作品からではなく、震災そのものへの反応だろう。
作品に震災のことを入れる意味はゼロだ。
では、東日本大震災とはまったく関係ない、普遍的な意味での震災を入れたのだとしたら。
それこそ、なんのために、ということになる。

劇場を出て、朝から何も食べていないことに気づき、阿佐ヶ谷の大勝軒に入る。
つけそば大盛を食べる。

5時帰宅。
自転車で移動したので、Tシャツは汗まみれになっていた。
着替えて、6時過ぎに西荻へ。
味わい堂々の芝居を見る。
今回は「キシノ味」

芹川と知恵も見に来た。
受付に森さん。
狭いスペースで、暑さ対策の扇風機が回っていた。

今回も三本上演。
自分のことがブスだと思っている女子三人が、美人のお面をつけて延々と美人ごっこをする部活の話。
知り合いの結婚式帰りの二人が電車で雑談する話など
ブス倶楽部の話は楽しく、結婚式帰りの話は、表情の微妙な変化が楽しかった。
最後の話はゲストの俳優さんが演じる男が、人生を振り返る話。
その男の人生にかかわる色々な人物を、味わい堂々の三人が演じていた。
高泉敦子『ラ・ヴィータ』を思わせる話。若干重め。

楽しい1時間十数分だった。

芹川、明日早いので帰ると言うが、一杯だけおいでと言って、知恵と三人で飲みに行く。
『風神亭』
芝居の話を色々。
次回のマグ不足をやる上で、味わい堂々さんの芝居を二人に見てもらえてよかったと思う。
芹川に、芝居がやりたいだろうと聞くと、
「したいですよ」
と返事。
当たり前の質問と、当たり前の答えだったが、結局それに尽きる。
ちゃんと、芝居をしようという話をする。
ちゃんと、というのがどういうものかうまく説明できないが、ちゃんと役を作って、ちゃんと役を演じる、ということだ。
バカバカしいネタは沢山あるが、そっちを中心にするのではなく、あくまでも役者が演技をしているところを見せる。
それがメインコンテンツだ。
他にも色々、なぜか重い話などしたりする。
10時半に店を出る。