茶夢の思い出

7時50分起き。
洗濯物を干し、台所の洗い物をしていたら、8時30分を過ぎてしまった。

自転車を真面目に漕いで仕事へ。
20分で新宿に着いたので、遅刻はしなかった。

午前中、昨日やった作業がうまくいっていなかったことを知り、やり直す。
頭がボーッとしていたのか、単純なミスを犯していた。

昼、カフェでスパゲティ・ボロネーゼ食べる。
そつのない味。
喫茶店の味と言うべきか。
だったら、ミートソース、でいいじゃん。

大学時代、「茶夢」という喫茶店がキャンパスにあった。
テーブル二つの狭い店で、昼休みはお弁当のテイクアウトサービスをやっていた。
メニューは、ピラフ、スパゲティ、カレーライスの3種。
スパゲティは、ミート、カレー、ホワイトソースの3種類が選べた。
ソースはピラフにかけることもできた。
コロッケピラフなんてのもあった。

「コロッケピラフで、ミートソース」

こんなふうに注文すると、コロッケピラフの上からミートソースがかけられたものが、発泡スチロールの器によそられた。

芝居の仕込みで腹ペコになり、今日は絶対に茶夢のコロッケピラフを食べてやるぞと思い、昼休み前に駆け込んだ時のことだった。

「コロッケピラフのカレーの大盛り」

コロッケピラフの大盛りにカレーソースをかけたものを注文したつもりだった。
ところが出てきたのは、普通のコロッケピラフと、カレーライスの大盛りの、2食分だった。
おばちゃんは、コロッケピラフと、カレーの大盛り、と聞き間違えたのだった。
でも、そのまま何も言わず買い、噴水広場の前で、ぺろっと食べた。
美味かった。

大学2年生の後半は、午前中の講義があくことが多かったので、昼休み前に茶夢の店内で、友達とだべることもあった。
「3年になったらこんなのんびりいかねえよなあ」
同級生はそう言っていたが、演劇ばかりやっていて進学状況がまったく不透明だったオレは、その言葉に頷きながら心の中で、
(カレーうめえ)
とだけ思っていたのだった。

その茶夢も、今はない。

午後、仕事はなくトラブルもなく、ついでに眠気もなく、時間だけがあった。
こういう暇な時間に、新しいことでも勉強できればいいのだが。
ただ待つだけの時間は長い。

先日、JAXAが、宇宙船を模した施設で2週間生活するボランティアを募集して話題になった。
このボランティアは、ネットで調べると、試薬ボランティアと同じらしかった。
8名の募集人員に対し、数千人が応募したという。
オレも実は応募したのだが、落ちたようだ。

十年ちょっと前に「第二ゾーンへ」という芝居を上演した。
舞台設定は山奥の山荘で、一ヶ月間暮らせば百万円もらえるバイトに応募した面々が、閉鎖された環境で段々おかしくなっていくというストーリーだった。

JAXAのボランティアは2週間で38万円だという。
24時間かける14日で計算すれば、時給1100円ちょっとだ。
そう考えると、ものすごくおいしい仕事というわけではない。
仕事ではなくボランティアだが。

夕方、定時にあがる。

サミットで買い物。
肉を見たり魚を見たりして、結局飲み物だけ買う。

玄米粥、大根おろし、豚ロース焼き肉、フランクフルトで夕食。

中島梓『小説道場』2巻読了。
80年代終わりから90年代初めの「JUNE」掲載分。
段位をもらい、作家デビューにいたる者が出てきて、道場は絶好調という感じだ。
初期にあった「創作のいろは」みたいな講評は減り、その代わり栗本薫の小説観が述べられる回数が増えているようだ。
手紙で色々なことを書く人もいるらしく、それに対し中島梓は、時に本気で腹を立てている。
だが、生きるためにJUNEを必要とする人の孤独を、JUNE小説を書かなければ生きていけないという考えに持っていき、読者に檄を飛ばすやり方は、嫌いではない。
というよりも、これまで作家栗本薫の本しか読んでこなかったことが悔やまれるほど、清々しさを感じる。

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