『三等重役』見逃す

7時半起き。
特に良くも悪くもない普通の目覚め。

外は寒かったが、眠気のため、あまり寒さを感じなかった。

午前中、隣チームの席ががら空きだったので、スケジュールを調べると、ミーティングをやっているとわかった。
ノート片手に押しかける。
会議室に入ると、0.3秒くらい、全員のぎょっとする間があった。
あいている席に座り、会議進行を聞きながら情報をメモする。
何が問題になっているのかというより、何を問題にしようとしているのかがわかった。
対策案を色々考え書きとめるが、あっというまにノート7ページ分が埋まった。
全部実行するには2ヶ月以上かかるだろう。

席の戻るとK君が「お疲れ様でした」と挨拶してきた。
昨日のフットサルは、上位リーグに進んでしまったため、その後は勝てずに終わってしまったという。

『ビッグ・リボウスキ』を思い出してしまうのは失礼か。
いや、むしろ『ビッグ・リボウスキ』の三人組みは、実は充実したスポーツ人生を送っていたということなのかもしれない。
見たくなった。
ジェフ・ブリッジスの見る夢のシーン、ジョン・タトゥーロのぴっちり衣装、大家さんのバレエ発表会シーン、サム・エリオットの声。
好きな映画は沢山あるが、愛している映画はそんなに多くない。
愛してる一つがこれだ。
見ると、いつも、うっとりする。
なんであんなにかっこいい選曲が出来るんだろう。

午後、メモを頼りに対策案を考えながら、担当者の間をうろつき、同時にK君にVBAを少し教える。
一つのテーマをあげて、考えてもらい、出来たものをチェックするというスタイル。
家庭教師のバイトをしていた時のことを思い出してしまった。

夕方までに、小さい対策一つ。
残業中に、中くらいの対策を一つ講じる。
7時前にあがる。

M君から勧められたThe Strokesの『Angles』を聴きながら実家へ帰る。
90年代と2000年代の洋楽が、ミッシングリンクとなっているのだが、豊かな鉱脈が手つかずに眠っている状態と考えればいい。
聞きやすいアルバム。
80年代の前半の、それも84年以前のニューウェイブっぽいような、でもどこか新しいような。
このアルバムを取っかかりにしてつかみ取りたいな。

7時半に実家へ。
「あんた、メールくれるの遅かったから、寿司のパック買ったわよ」
と母。

父が言った。
「この前『三等重役』テレビでやっとったんだよ」
食べていた寿司を吹き出した。
「なんだって? それすごく見たかったんだよ!」
顔についた飯粒をティッシュで拭き取りながら父は言った。
「そうか、そんなに見たかったか…」
「見たかったよ! 録画したでしょ? したでしょ?」
母が言った。
「消しちゃったわよ」
飲んでいた味噌汁を吹き出した。
「マジかよ! ずっと見たかったのに…」
母は布巾で顔についたワカメを拭きながら続けた。
「だってこの人、録画したらすぐに消しちゃうんだもの」
取りなすように父が言った。
「『警察日記』もあるぞ」
「…それ持ってる」
「(知らない時代劇タイトルを言い)こんなのもあるぞ」
「…興味ない」

部屋に戻り気を落ち着ける。

『行人』読み進む。
夏目漱石作品を続けて読むと、小説が読みやすいものになっていく歴史を追っているようだ。

11時過ぎ入浴。

実家の自分の部屋が寒すぎて、何かを書くには親が寝た後にリビングのこたつで書くしかない。
宵っ張りになりがち。
自分の部屋といっても、物置のような扱いになっているので、今さら領有権を主張してレイアウトを替えるのも煩わしい。
だが、本棚は邪魔だなあと思う。
もっと奥行きの狭いもので十分だし、置いてある本もろくなものはない。
それはリビングのテレビ台兼本棚も同じことで、部屋の仕切り代わりにしているため、大きいテレビが置けない。
ソファと棚の位置を逆にして、本棚ではなくテレビ台のみを置けばすっきりするのに。