千尋の闇再々、再々、再読

お盆期間だが新宿周辺の店はどこもやっているようだ。
昼に中華の「西胡春」へ行ったがいつも通りの営業だった。
油淋鶏を頼む。
辛めのソースがかかっていて美味い。

夕方、10月公演の出演者である仁科さんと新宿で待ち合わせ。
トートバッグを下げて文庫本を読んでいますとメールをし、周りに同じような人がいないか注意しつつ、ロバート・ゴダード『千尋の闇』を読む。
仁科さんに声をかけられほっとする。
純喫茶「らんぶる」へ移動。

話すと言っても基本的には雑談。
演劇を始めた経緯を聞いたり、今やっていることを聞いたりなど。
内容じゃなく、雑談を何時間積み重ねてきたかが重要だと思う。

仁科さん、仕事の関係で同人誌を扱うことがあるそうで、コミケの話などしてくれた。
そういえば夏コミが終わって間もない。
「一度行ってみたいんだよね」
と意見を述べる。

ゆりかもめで、コミケ帰りの男性の体臭が異臭を放っていたと、ネットのニュースで読んだことを言う。
「うちの店も、同人誌コーナーに、消臭剤を置いています」
「男性用?」
「はい。減りが早いです」
客の体臭対策なのだろうか。

そもそも、破滅的な体臭を発する前になぜ風呂に入らないのかと思うが、現実に背を向ける力が全力であるほど、二次元へのめり込む力が強くなるのかもしれない。

2時間と少し雑談し帰宅。

西友でレモンチキンを買った。
ザワークラウトと一緒に食べると、とても相性が良かった。
作り置きのザワークラウト、一気になくなってしまった。
漬けている期間より、食べきる時間の方が早い。
どうにかならないものか。

ゴダードの『千尋の闇』を再読する。
ゴダード的なもののすべてが、このデビュー作には入っていると思う。
荒削りな分、話の運び方はのちの作品よりも予想がつきにくく、次はどうなるんだろうという好奇心をあおる。
ただ、初めて読んだ27歳の時と現在とでは、自分の経験してきた人生が違うので、受け取り方も異なってくる。
ストラフォードがすべてを失う場面は、読むのが辛くて仕方なかった。
27の時は、まだそういう喪失を経験したことがなかったから、面白さに浸りきって、ただ読んでいた。

それでも過去を振り返る性癖は、27歳の時の方が強かった。
今はあまり、過去のことを思い出すことはしない。しなくなった。
思い出しても仕方ないという悟りを得たのではない。
防御反応かもしれないと思っている。