デルス・ウザーラ観る

朝の5時に起きる。何の因果か知らないが。
昨日の残りのジャン焼きで朝飯。

弁当を作る。
8月6日以来だ。
食べたものをメモしているので確かだ。

日記に日付を書くのはわかるが、天気を書く意味がよくわからない。
つけはじめた最初の頃は書いていた。
日記をつけていることを実感する必要がなくなると、やがてやめてしまった。
天気を書くくらいなら、食べたものを克明に書いていった方がいい。
他者から見れば、そこから生活を感じ取れるかもしれない。
まあ俺は本人だから、ある程度時間をおいて、自分の生活が他人の生活に感じられるようになるまで無理だけど。

6時半前に仕事を上がる。
豚バラ肉ブロック、ゴボウなどを買い帰宅。
ゴボウは人参と一緒に千切りになったパック品。
きんぴらゴボウを作り、ごはんですよと一緒に食べる。

角煮を作る。
去年の暮れ、人を招いてうちで飲んだ時に作ったが、あの時は失敗した。
圧力鍋で煮込みすぎて、赤身の部分がぱさぱさになってしまった。

長時間圧力をかけるのは良くないらしい。
確かに短時間で柔らかくなるが、本来角煮は、時間をかけて煮たり冷ましたりの繰り返しでトロトロにしていくものだそうだ。
大学生の時、パントマイムスクールで知り合ったおばちゃんが、偶然にも同じ高校の先輩だった。
発表会の打ち上げでおばちゃんの家に呼ばれ、角煮をごちそうになった。
結婚して10年くらい沖縄におり、ラフテーの作りかたを覚えたと言っていた。
角煮は絶品だった。
「泡盛使わないと柔らかくならないのよ」
とおばちゃんは言っていた。

ソフトバンクの秋山監督が今季限りで勇退することになった。
今年は6年目だったらしい。
そんなにやっていたことに驚く。

『デルス・ウザーラ』見る。
黒澤明監督のソ連映画。
長年、見たい見たいと思っていた作品。
物語の時代は1900年代初頭。
舞台はシベリア沿海地方。
地図作成のため派遣されたロシア人の探検隊が、先住民族のデルスと出会うというお話。
文明と自然の、出会いの話。
「対立」にすると、要するに「もののけ姫」になってしまうが、そうした激しさはない。
デルスの素朴さ、アルセーニエフ隊長の誠実さ、自然の雄大さ美しさ恐ろしさが、叙情的に美しく描かれている。

ソ連の俳優達のスキルがめっぽう高い。
さすがスタニスラフスキーの国というか、役を作り演技をするプロセスは芸術なのだと、俳優達ひとりひとりが当たり前のように自覚していることで、芝居全体に品がある。
遭難しそうになった隊員が、少数民族の住まいで食べ物を分けてもらい、むしゃむしゃ食べる場面。
たまらない良さがある。

でもこの良さは、「用心棒」「椿三十郎」「天国と地獄」「赤ひげ」にあった良さとはだいぶ出し方が違う。
どこが面白いの? と思う人は、面白いと思えない映画なのだろう。
イラン映画のような、素朴な良さと、黒澤明という名前が、結びつきがたく思えるかもしれない。

「七人の侍」を撮った人が、こういう映画を撮れたことに、素直に感動出来る方が楽しめる。
美しい画面と気品のある芝居を、たっぷりと目と耳にごちそうしてやり、満足だ。