『花の命はノーフューチャー』読む

7時半に起きた。外は、台風一過らしい晴れ方をしていた。
洗濯物を干し、自転車で初台に向かった。

電車が止まっているらしく、交差点は徒歩で出勤したであろう人々で一杯になっていた。

昼は33度まで気温が上がったらしいが、空気は乾いていたので、ランチを食べに外に出た時、それほど暑いとは思わなかった。

家の近くにある釣具屋をグーグルマップで調べた。八幡山のキャスティングと、西荻のタックルベリーが一番近かったが、どちらもおよそ5キロ離れていた。気軽に行ける距離ではない。
だが、ジョギングの途中に立ち寄るなら、まことに都合の良い距離だと思った。店まで走っていけば、往復でちょうど10キロになる。大きい買い物はできないが、ルアー程度なら買って帰ることは可能だ。

6時半に帰宅し、タックルベリーまで走ってみることにした。日が沈むと暑気はまったく残っていなかった。
五日市街道を西へ走った。西荻の松庵あたりに着いたが、道沿いに店はなかった。井の頭通り沿いだったかと思い、南に移動した。果たして井の頭通り沿いにあった。
15分ほどルアーを見てから、エリア10のパールカラーを買った。レジで金を払う時、レジスターの横に立っている札が目に入った。10月6日に閉店すると書いてあった。
上州屋の高円寺店、南葛西店に続き、行きつけになる前に閉店する釣具店が、これで三店目だ。

『花の命はノーフューチャー』読了。
ブレイディみかこの文章は、かぎかっこの中身が実に魅力的だ。イギリスの労働者階級の喋りを、翻訳調から遠く離れた、読みやすく親しみやすい日本語に訳している。小説や映画の字幕がこうだったらいいのにと思わせられる文体だ。
文章も歯切れよく、センテンスごとに思考をきちんと区切っているので、ネガティブなことが書かれていても未練たらしくない。
たびたび登場する「連れ合い」も、みかこ文体の喋りで表現されていて、実に味のある人物に感じられる。みかこの父が送ってきた、北島三郎ロゴの入ったラメ入りジャンパーを気に入って、わざわざ日本人観光客の多いところでそれを着て、日本人にウケるのを面白がっているのが、なんともおかしい。
刊行当時の著者は、ブライトンでアイリッシュの夫と暮らす日本人女性という肩書しかなく、本の魅力はひとえにそのパンク文体に尽きた。その後保育士となってから、仕事の困難さや、そこから見えてくるイギリス社会の問題を、同じくパンク文体で著したのが、『子どもたちの階級闘争』というわけである。みかこさんの本質は変わらない。環境が変わっただけだ。
だから、本書を先に読んでから、『子どもたちの階級闘争』を読むと面白いと思う。視点を変えず、イギリス社会を定点観測する趣があり、時代の変化がダイレクトに伝わってくるはずだ。
本書には、のちにみかこさんが保育士になる伏線となるような出来事も書かれている。そして、この頃はまだ「子供嫌い」なのだ。

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