免許更新、打ち合わせ、つくる

朝6時半起き。

リモート関連の打ち合わせが夕方にあった。それまで自由に使える時間があったので、7月に延長手続きをしていた免許の更新をすることにした。

8時半過ぎに家を出た。武蔵小金井まで行き、そこからバスで試験場へ。試験場は混んでいたが、更新手続きが午後までかかることはなさそうだった。

一応、恥ずかしながらゴールデンメンバーズの一員なので、講習は30分で済んだ。できた免許を受け取り、写真を見ると、5年分安定して老化した自分が従順な捕虜のような顔をして写っていた。

11時前に試験場を出た。バスを使わず、徒歩で武蔵野公園を通り抜けた。

そのまま歩いて東小金井へ。開店直後の『宝華』に入り、天津丼と野菜スープを頼んだ。すると店員の女性が言った。

「野菜スープはラーメンの丼に入ってきますけど大丈夫ですか?」

そんなに食べる気分ではなかったので野菜スープは取り下げ、天津丼だけ食べることにした。

天津丼のタレは醤油タレだった。タレはとろみのつき方にムラがなく上品な味がした。

食べ終わってから、駅の日陰で少し涼んだ。日なたに出ると結構暑かったが、日陰は涼しかった。

12時を過ぎていた。予定時間まで大分あったが、いったん家に帰るのも面倒なので、打ち合わせ先に行くことにした。

JRで駒込へ。南口にドトールがあったので入り、アイスコーヒーを頼んだ。

アイスコーヒーを飲みながら、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読んだ。先日、英訳本をちょろっと読む機会があり、久しぶりに読みたくなったのだ。

この本は今まで2回読んでいるはずだ。買った時に1回と、貸していたのを返してもらってから1回。

多崎つくるは、二十歳の時に突然四人の親友から絶交される。思い当たるフシはまったくない。その事実を受け入れるまで何ヶ月もかかった。大学を卒業して十年以上経ち、つくるは沙羅という女性とつき合うようになった。彼女はつくるの中に、何か問題があることに気付く。それは四人の親友から絶交されたことでつくるに形成された要素かもしれないし、あるいは元からつくるの中にあり、絶交されるという事態をもたらした何かかもしれなかった。沙羅はつくるに、絶交されなくてはならなかった理由を四人のひとりひとりに聞きに行くべきだと言う。

2時にドトールを出て現場に向かった。まだ時間が余っていたので続きを読んだ。

つくるが放逐されたのは、四人の一人、シロをレイプした疑惑のためだった。シロはある日、つくるに乱暴されたことを他の三人に言った。取り乱し、精神的に危険な状況だった。クロは、シロを守るためにつくるとの関係を断ち切ることを提案した。しかし、つくるはもちろんそんなことをした覚えはなかった。アオやアカも、シロの言うことはどこかおかしいと感じていたが、事態が緊急だったため、その取り決めにしたがった。シロはそれから、長い時間をかけて回復していったが、彼女を内面から美しくしていたものはその過程で失われてしまった。そして三十の年、シロは自宅アパートで何者かによって絞殺されてしまった。
つくるは、アオ、アカ、クロと会って話すことで、それらの事実を知っていく。

3時半過ぎ、待ち合わせ場所に行く。4時から打ち合わせ。環境やセキュリティ関係など。予定より少し長くかかった。5時前終了。

千石から地下鉄で帰宅。

夜は読書を続け、最後まで読み終えた。

ラストの方でつくるは、真夜中にも関わらず沙羅に電話をかける。この場面が印象に残った。四人から絶交された時、つくるは事実を悄然と受け入れた。しかし、すべてを知った今、彼は、大切なものを失うまいとして、そのような行動に駆り立てられたのだ。真夜中に電話するなんて、相手の立場を弁えていない行為だが、この時の彼は、それをしなくてはならないほど、沙羅を失いたくないと思っていたのだ。