散々なヤビツ峠

朝、5時起き。朝飯に、コーンフレークとミルク。

自転車で永福町。下北沢へ。急行で秦野へ。7時過ぎに秦野着。

駅構内に、峠ランニングをしにきたと思われる男女がいて、楽しそうに談笑していた。

前回までの古道ルートではなく、初心に返って名古木交差点からスタートすることにした。

駅から名古木までゆっくり走り、交差点のセブンイレブンでアクエリアスを買い、ポーチにセットした。

蓑毛バス停までの坂道を走り始める。前回より調子がいいような気がしたが、初めだけだった。古道の合流点まではなんとか走れたが、その後すぐ、足が止まってしまった。

心拍数を見て、下がってから再び走る。しかし、そんなに上がらなくても、140台後半くらいでも、息が上がったように感じてしまっていた。

前回来た時より暑くはなかったが、すごい勢いで汗が出た。名古木交差点から蓑毛バス停までは、距離にしてたかだか4キロちょっとだったのに、途中で座り込んでしまった。

後ろから、四十代と思われる女性ランナーが走ってきて、「あとちょっとで蓑毛ですよ。お水飲めますよ」と声をかけてきた。

鳥居から蓑毛バス停までの、一段階傾斜が急になった坂を、フルマラソンのゴール寸前みたいなふらつき方で走り、止まり、歩き、走れず歩き、歩いた。歩いた割合の方が高かった。途中、ランナーではなくハイカーに追い抜かれた。

蓑毛バス停に着いた時には、買ったアクエリアスを飲みきっていた。自販機でコーラを買って飲んだ。ものすごく美味しかった。コーラを全部飲み干し、再び走り始めた。

蓑毛バス停から菜の花展望台までは、それまでよりも若干傾斜が緩くなるが、それも序盤だけで、後半からはひたすら上りが続いた。当然、走っては止まり、休み、また走ろうとするが十歩で諦め、歩き、走ろうとして歩き、そのうち歩いてもきつくなり、止まり、心拍数が通常時くらいまで下がってから再び走り、十歩で諦めた。

走っているとは到底言えない状態だった。とてもじゃないが、トレイルランのレースなんかに参加できる体ではない。

フラフラになりながら、なんとか菜の花展望台まで上がった。そのあたりでは雨が降っていた。

展望台のベンチで仰向けに横になった。五年前、同じように展望台のベンチで横になり、もう走りたくないと思った記憶がある。同じことを思った。

そのまま、数十分横になった。ほぼ、仮眠をとっていたようなものだ。起きると、気分がほんの少しだけすっきりしていた。

ヤビツ峠に向けて再び走り始める。序盤は走ることができたが、1キロも進まないうちに苦しくなって歩いた。十秒走って二十秒歩き、サイクリストやランナーが下りてくる時だけ、格好つけて走った。

そんなみっともない進み方でも進みはするもので、走行距離が12キロを過ぎて間もなく、上り坂の向こうに駐車している車が見えた。ヤビツ峠だった。

自販機で飲み物を買おうとして千円札を入れたが、汗で湿っており読み取れなかったので、売店でアイスを買い、お釣りでコーラを買った。時刻は11時を過ぎていた。ヤビツ峠を上るのに一体何時間かけたのか、考えるのが恐ろしかった。というより、鬱陶しかった。走って登れる体力がないのに、無謀な挑戦をしてけちょんけちょんにされた、惨めなおっさんがここにいる。

帰りは箕毛からバスで駅まで行くつもりでいた。しかし、ヤビツ峠から箕毛までは走らねばならなかった。憂鬱だった。しかし、下りは楽なのだ。特に、体が重いため、上りで心拍数が激上がりする自分のような人間にとっては。

コーラを飲み終え、ゴミをウエストポーチにまとめ、下りを走り始めた。展望台までは3.2キロ、そこから箕毛までは4キロちょっとだった。左足首が少し痛んだが、下りは止まることなく、一気に箕毛まで下りることができた。

ただ、汗は凄かった。自販機でスポーツドリンクを飲み、バスが来るまで30分ほど、渓流を眺めながら涼んで過ごした。

12時58分のバスで秦野駅へ。ロッカーから荷物を出す。帰りに温泉に入って行くため、着替えやタオルを持ってきていたが、そんな気分には到底なれず。速攻、急行で相模大野。快速急行で下北。井の頭で永福町。永福町駅を出たとき、日差しが滅茶苦茶暑かった。チャリで帰宅。

着がえず、荷物を置いてすぐ高円寺へ。新幹線の切符を発券し、OKで飲み物を買って帰宅。

水のシャワーを浴びた。体重が2キロ半減っていた。

夜、峠走でなぜ止まってしまうのかをネットで調べるが、調べるまでもないことだと思う。五年前、何度かヤビツ峠ランニングはしているが、その頃、体重が一番重かった時よりも、今はさらに3キロ以上重い。そりゃ、バテるわけだ。

次は土曜と日曜にヤビツ峠ランニングをする予定だが、走るだけじゃなく体重を落とさないといけない。それも、フルマラソンの時よりさらに軽くしないと、体を上に運んでいけない。

「小さな羊飼い」練習する。練習量が足りない。

何もかも足りていない。漫然と過ごす時間が長すぎる。