『火花』面白かった

起きると8時前だった。
5時にいったん起きたのだが、寝苦しさが息苦しさになり、起き苦しさ生き苦しさに変化し、暗黒の夢を見つつ二度寝していた。
庭のトマト、昨夜熟していたので摘もうと思ったら、茎からちょっと離れたところに転がっていて、ぐしゃぐしゃになっていた。
カラスか、と思ったが、カラスなら丸ごと持っていってしまうだろう。
落果し、それを小鳥がついばんだのではないか。
腹が立った。夜のうちに摘んでおけば良かった。
しかも走れなかったなあと思い、ぱっとしない気分のまま、飯も食わず仕事。

昼、「味咲家」でトンカツ定食食べる。

昨日に続いて体調は良くない。
悪いわけじゃないのだが、絶好調ではなかった。
気温が上がったり下がったり、雨が降ったりやんだりとで、気分や体調も良くなったり悪くなったりしているみたいだ。

夜、『火花』読了。
先輩芸人の神谷という男のことを、主人公徳永が語る体裁。
神谷の漫才論が、芸術論になっているところが面白かった。
漫才師が漫才の小説を書いたわけだが、あくまで小説家として漫才の小説を書いているため、自伝的な内容に自ら泣いたり笑ったりせず、距離をおいて冷静に描写し続けている。
この抑制が、自伝的小説を私小説にしており、私小説にする技量を感じさせる作品だったゆえに、芥川賞受賞となったのだろう。
面白かった。
神谷が、真樹さんのアパートから自分の荷物を引き払う場面は、徳永の視点でいえば青春物語そのもので、泣ける描き方はいくらでもできそうなのだが、そうしない。
だが、語り手が徳永自信なので、感情の揺らぎは所々に漏れる。
絶妙のバランスだった。
ラスト、神谷がシリコンを胸に入れた場面も出色で、この神谷の行動を理解できれば、大いに作品を楽しめると思う。