昼の3時、オギノ式から電話があった。
「もしもし、ドカさんですか、今どこにいますか」
仕事で六本木にいると答えると、
「何だ。そんな大人の街にいるのならもう用はないです」
どういうことだと問いつめると、
「実は、今小金井の南口をほっつき歩いてるんですけど、夕方まで時間をつぶすのに丁度よいスペースはないかと思いまして。そこで、小金井といえばドカさんだから、部屋にいるならおじゃまして、くつろごうかなと」
くつろぐには図書館がいいぞとアドバイスをした。
彼は礼を言うと話をかえた。
「この前、川口さんや志乃さんたちと、餃子パーティーをしたんです」
おいおい、それはどういうことだ?
「うまかったですよ。餃子って面白いですね」
なぜお前達がそんなことをする必要があるんだ?
「色々発見もありましたし」
その必要があるのか?
「それじゃ」
ガチャン。ツーツーツー。
失礼な奴だ。
俺が「ギョーザ大作戦」を書いていることを知っての上での犯行か。
招け俺を。
夜、連休明け初の稽古。
去年、「粗忽重ね」という芝居を書いたのだが、それに出演していた谷口さんという娘が見学に来た。
当然、稽古に参加してもらう。
書けない書けないと悩みながらも、冒頭シーンだけは昨日せっせと書いた。
えつ子という女の役を、智保ちゃんにやってもらうことにする。
かき氷が溶ける音というのを色々考えてもらうことに。
「色っぽい溶け方だよ」
と、注文する。
稽古後、健ちゃん、山ちゃん、谷口さんとサイゼリアに行き、軽く飯を食う。
山ちゃん、最近調子が悪いという。
「山ちゃんねえ、近頃未来が見えないの」
予言者かお前は、というツッコミを飲み込み、ひたすら盛り上げ役に徹する。
12時半に小金井帰宅。
昼は暑くても、夜になるとまだ寒い。
春の亡霊が蠢いている。
早く成仏してくれれば、一気に夏が来るだろう。
そうすればこっちの勝ちだ。
中日も勝ったし。