仕込み初日のゴミあさり

 10時に小屋入り。

 オギノ君の指示で客席をかたし、舞台に敷かれていたシートをはずす。
 照明のつり込み作業を優先で仕込みが進む。

 中山君はオギノ君の指示で幕吊りにいそしんでいたが、実のところ仕込み諸作業はあまりなかった。
 12時に昼休憩をとった時点で、タイムテーブル的にまいていけるだろうとの予測があった。

 小屋周辺は猫がたくさんいて、猫好きの鶴マミは早速コンタクトをとっていた。

任妨討咾?韻訥瓮泪?

 しかし猫はつれないのだった。

しかし任聾討咾?韻鯡技襪靴突?海筏遒辰討い辰?

 小滝橋交差点のラーメン屋でラーメンを食ったが、実にまずかった。
 その隣にディスカウントショップがあり、中山君と中をのぞく。
 二人で吸い込まれるようにアダルトコーナーへ。
 「380円ビデオがありますよ」
 と中山君。
 「よく見ろ。380円?、となってる」
 と俺。
 店のスピーカーから「あきらめまーしょうー」と華原朋美の曲が流れ、通りすがりのサラリーマンが「いい曲だよな」とつぶやいていた。

 昼休憩後、女の子3人と舞台に使う粗大ゴミ探し。
 俺は阿部さんと組み、上落合方面を捜索した。

 下水処理場近くの道ばたでランドセルが捨てられていた。
 その他にも色々あったのだが、他人の捨てたゴミを拾うのはなんかイヤな感じだった。

 団地のゴミ集積所みたいなところで、自転車のタイヤチューブ、折れたほうきなどの魅力的なゴミを発見。
 しかしそれらのゴミをありがたがる日本人は、5月2日現在俺たちだけではなかろうか。

 ゴミ集めが一段落ついたころ、客席が完成していた。
 引き続き舞台の装飾関係に取りかかる。
 時間は結構余り、夕方の5時頃にはいつでも場当たりに入れる状態になっていた。

 休憩時間の雑談。

 オギノ「ドカさん、健康に詳しいですか?」
 塚本「まあ、それに携わる仕事やってるけど」
 オギノ「最近おれ、じんましんが出たり、むくんだりするんですよ。腎臓ですかね」
 塚本「よくわからないけど内蔵のどこかが悪いんだろうね」
 オギノ「何が効きます?」
 塚本「シジミは肝臓にいいって言うね」
 オギノ「そんなもの食えってんなら、俺は肝臓で死にます」
 塚本「やっぱり、貝は嫌い?」
 オギノ「とんでもない奴らですよ」
 塚本「とんでもない?」
 オギノ「ひどいこと平気でしますよ」
 塚本「じゃあ、アサリがオギノ君とこに来て、『2000円で舞監やってくれ』とか?」
 オギノ「そのくらいのことはしますね」
 塚本「『今度木更津で大潮の時に芝居するんですよ』とかいって、20匹のアサリが100円玉を1枚ずつはさんで並んでるんだよ?』
 オギノ「そんなものは踏みつぶします」

 夕方6時から場当たり。
 装置がある状態で役者が動くのは初めてだったので、転換等も重視。
 それでもきっかけが少ないため、9時前に終了した。
 とりあえず、順調なまま仕込みは終わった。
 あとは明日のゲネがどうなることか。

 集合時間を決めてから役者は解散。
 望月、敏腕、オギノ、宮崎さんと俺は諸作業のため少し残る。
 それでも9時半には小屋を辞すことができた。

 オギノ君の運転する車に乗せてもらい、小金井まで帰る。
 道中、今回の芝居について色々話す。

 10時過ぎ帰宅。
 日記のアップを済ませ、ほっと一息。
 明日は本番。
 いつものことだが本番前日は頭が波打つ。
 ノイズにさえならなければいいのだけれど。